目次

  1. 髪の根元にあるバルジ領域…その知られざる働きとは?
  2. バルジ領域、その概要
  3. バルジ領域、その働き①「毛の成長を促す!」
  4. バルジ領域、その働き②「黒い髪を生やす!」
  5. 帰結⑴バルジ領域を活性化すると毛が生える?
  6. 帰結⑵バルジ領域を破壊すれば永久脱毛できる?
  7. バルジ領域、要するにまだ解明途上!

あなたは髪の毛について、どれだけ詳しくご存知でしょうか?

髪の見えている部分が毛幹、皮下に隠れている部分が毛根…。
これくらいなら知っている人もいるかもしれませんね。

しかし、毛根の中にあるバルジ領域となると、これは相当詳しい人でも「エッ、何!?」となるのではないでしょうか。

あなたの髪の根元にも確実に存在している、このバルジ領域について、この記事で詳しくなってみましょう!

「バルジ領域を破壊して永久脱毛」すると話題の*新式脱毛法や、バルジ領域を活性化させる薄毛治療法など、耳よりな情報もお伝えしていきます。

最後までどうぞお読みになってください。

図解!毛根・毛包・バルジ領域
図解!毛根・毛包・バルジ領域

画像にも描かれている通り、毛の根の部分毛根と呼ぶのはご存知の通り。

よく見ると、毛根は鞘(さや)状の組織に包まれていますよね。
この組織のことを毛包と呼びます。

この毛包をさらに詳しく見てみると、どうでしょう。
中央部がやや、膨らんでいますよね?

この膨張部こそが、バルジ領域です。

バルジ(bulge)は英語で「隆起」「膨張」の意味。
そのため、バルジ領域は、別名「膨大部」「毛隆起」とも呼ばれています。

このバルジ領域が、正常なヘアサイクル(髪の毛の発生→成長→脱毛→再発生)の維持、さらには薄毛・白髪予防のカギを握っているらしいことが、最近の研究で明らかになりつつあるのです。

今回は、そんなバルジ領域の役割を知るために「バルジ活性化説」と「幹細胞を中心とした老化(薄毛・白髪)プログラム」、2つの研究をご紹介しましょう。

髪の毛は毛根から生えている?それとも…
髪の毛は毛根から生えている?それとも…

まずご紹介しますのは、バルジ活性化説

ペンシルバニア大のジョージ・コサレリ博士らが1990年に提唱した、ヘアサイクルのメカニズムを説明する理論です。

突然ですが、クイズをひとつ。
「毛はどこから生えているのか?」

上に掲げた毛根のイラストを見て答えるならば、答えは当然、「毛の一番根っこのところにある球状の部分」となるでしょう。

たしかに、この球状の部分(毛球部)には、毛乳頭や毛母細胞など、髪の発生・成長を担う大事な組織が集中しています。

しかし、ある意味では、髪の毛はバルジ領域から生えている!とも言えるのです。

それは一体どういうことなのでしょうか?

毛周期の「バルジ活性化説」

ヘアサイクル(毛周期)
ヘアサイクル(毛周期)

こちらのヘアサイクルの図をご覧ください。

毛根の深さについて、何か気付くことはありませんか?

そう、毛根(毛包)は、成長期を通じて、上だけでなく下方へも伸長していくのです。
植物において、茎が伸びるにつれて根が深まっていくのと同様ですね。

言い換えると、毛の一番“底”の部分にあたる毛球部は、下へ下へと沈んでいきます。
しかし、例のバルジ領域は、ヘアサイクルを通じて位置が変わりません
ずっと、比較的表皮に近い位置にいるままなのです。

これすなわち、毛の成長に従い、毛球部とバルジ領域の距離は離れていくということ。

それによって何が起きるのか。

  • ①毛球部とバルジ領域が一定程度以上離れると、毛球部は活力を失い、脱毛する
  • ②すると毛包が縮み、毛球部とバルジ領域が再び接近する
  • ③毛球部がバルジ領域によって活性化され、新たな毛が生える

これが繰り返されることこそ、ヘアサイクルの正体である――。

そう唱えた説こそ、バルジ活性化説なのです。(参照1)

参照1:『脱毛症治療の新戦略』、中山書店、2011年

元気な髪は、バルジ領域さまさま!
元気な髪は、バルジ領域さまさま!

今日もありがと、バルジ君。

2016年2月、権威ある国際科学誌『サイエンス』に、東京医科歯科大の西村栄美教授らによる研究が発表されました。

バルジ領域に存在する幹細胞脱毛・白髪との関係性を解き明かしたもので、国内外で脚光を浴びたものです。

そう、バルジ領域には、髪の大本となる幹細胞が存在しています。
それも、2種類。

  • 毛包幹細胞―毛の発生を担う
  • 色素幹細胞―毛に色を与える

このうち、色素幹細胞が消失してしまうと白髪になり、毛包幹細胞が消失してしまうと、そもそも髪の毛が生えてきません。

しかし、どちらの幹細胞も加齢にともない、必然的に減少・消失していきます…。

これが西村教授らの解き明かした、幹細胞を中心とする白髪・脱毛のメカニズムなのでした。(参照2)

バルジ領域には、そんな大事な幹細胞たちが棲んでいるのですね!

バルジ領域は、黒い髪が繰り返し生えてくるために、大事な働きをしている――。

ならば、そのバルジ領域を活性化させることは、育毛や発毛につながるのではないか?

今や年齢性別問わず多くの方に注目されている“薄毛・ハゲ治療業界”において、このバルジ領域が着目されないはずがありません。

一部のクリニックで実施されている、バルジ領域にアプローチする施術方法を2つご紹介しましょう。

HARG®(ハーグ)療法

従来の増毛や植毛とは一線を画す施術として、毛髪再生治療と呼ばれるものがあります。

そのうちのひとつが、こちらのHARG®療法
バルジ領域に働きかけ、健康な髪の発毛を目指すものです。

HARG®療法で用いられるのは、AAPE® powderと呼ばれる、特殊な薬剤。
培養した幹細胞の上澄み液から採取された生体タンパク質を、凍結乾燥させたものです。

これを投与すると、髪の毛周辺の弱った細胞の機能を回復させるような、ある種のシグナルが発信されます。

そのシグナルを受けて、バルジ領域内にある、例の毛包幹細胞などが活性化。
連動して、髪の毛周辺の各組織が、もとの正常な状態を取り戻すことが期待できるのだそうです!

脂肪幹細胞療法

こちらも毛髪再生治療の一種です。 やはりバルジ領域内の幹細胞の活性化をめざすものです。

  • まず、患者自身の体から、脂肪由来の幹細胞を採取・培養します。
  • 次に、それを頭皮の脱毛部に注射します。
  • すると、毛根の周囲に存在する“脂肪になる前の細胞(脂肪前駆細胞)”が活性化します。
  • この細胞からさまざまな成長因子が作られ、毛包幹細胞などに活力を与えます。

この結果、休止期から成長期へとサイクルを移行させるのだといいます。

スイッチの切り替わった細胞たちは、続々と発毛を促してくれるようになるそう。

毛髪科学は進んでいる、ということを実感しますね!

ここまでに紹介した毛髪再生治療については、ヘアラボのこちら(↓)の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ確認してみてください。

バルジ領域は、黒い髪が繰り返し生えてくるために、大事な働きをしている――。

ならば、そのバルジ領域を破壊してしまえば、ムダ毛を永久脱毛できるのではないか?

常にムダ毛と戦い続ける方を支え続ける脱毛業界の人たちが、これを見逃すはずがありません。

これまでの「永久脱毛」といえば、レーザー脱毛やニードル脱毛。
やり方こそ違うものの、どちらも“毛の一番の根元にあたる毛球部(正確には毛乳頭)を破壊する”という方法をとっていました。

ただ、この方法には、

  • 何と言っても痛い!

  • 肌への負荷が大きい

などの、デメリットが。

頭皮の深いところへ高温のレーザーを照射したり、毛穴一つひとつに針を差し込んで電流を流す必要があったので、強い痛みを伴ううえに肌への負荷も大きい施術でした。

そんな従来の永久脱毛方とは一線を画する「バルジ領域を破壊する」という新型の永久脱毛法。
一体どのようなものなのか気になりますよね?

その全貌をご紹介しましょう!

バルジ領域を破壊する新式脱毛法

先述していた通り、バルジ領域は表皮に近いところに位置しています。

つまり、深いところまで届かせるために高温のレーザーを当たり、ニードルを差し込む必要がなくなったということ。

バルジ領域の破壊をめざす新式のレーザー脱毛では、低い温度のレーザーを短い時間照射するだけで脱毛効果を得られるので、痛みもかなり軽減されました

加えて、バルジ領域はヘアサイクルによって位置が変化しないので、これまでの脱毛のように毛周期を細かく意識する必要はないそうです。

メディオスターNeXT PRO

そんな夢の次世代レーザー脱毛機が、バルジ領域の破壊によって永久脱毛を目指すメディオスターNeXT PROです。

こちらは、すでに以下のような一部のクリニックに導入されています。(クリックで公式HPにジャンプできます)

湘南美容外科
美容皮膚科のリゼ
ブランクリニック

ただし…バルジ領域を破壊するタイプの脱毛法は、まだ実施されはじめたばかり。
いまひとつ、実績やエビデンスが足りていないのが現状です。

果たして、本当に「永久」脱毛になるのか?
何年かしたら、また毛が生えてきてしまうのか?

さらなる報告が待たれるところです。

なーんだ、バルジ領域については、まだこれだけしか分かってないのか…
なーんだ、バルジ領域については、まだこれだけしか分かってないのか…

「バルジ領域とは何か」について、お話してきました。

バルジ領域(およびそこに棲む幹細胞たち)が、髪にとって極めて重要な働きをしていることが、お分かりいただけたと思います。

そして、それを育毛・発毛、または脱毛に活かそうという試みが、各方面からとられているということも。

しかし、バルジ領域については、基礎研究・臨床適用とも、まだまだ発展途上という観を否めません。
さらなる発見と、知見の蓄積が待たれますね。

今後もバルジ領域から目が離せません!

参考文献
[1] 坪井良治・古江増隆 , 脱毛症治療の新戦略 , 脱毛症治療の新戦略