目次

  1. スプレー、ワックス、ムース、ジェル——違いは何だ!?
  2. そうだ、髪を立たせてみよう!
  3. ヘアスプレーって、どんなヘアスタイリング剤?
  4. 試すのは、個性豊かな4商品+2商品
  5. 実験の手順
  6. まずはGATSBYとルシードから
  7. UNOとHG 資生堂勢はどうか?
  8. ビジュアル系とタカラジェンヌの髪を固めてきたスプレーの実力は?
  9. まとめにかえて〜ヘアスプレーの「髪を立たせる力」は半端なかった

突然ですが、皆さんは「髪をスタイリングするときに使うヘアスタイリング剤」と聞いて、何を思い浮かべますか?

①ヘアスプレー

②ヘアワックス

③ヘアジェル

④ヘアムース

多くの人がこの4つのスタイリング剤を思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし、

「この4つにどんな差があるのか」
「どんなスタイルにするとき、どれを使えばいいのか」

を明確に語れる人はいるでしょうか?

正直に言います。

へラボの編集部でも、今回の実験企画を始める前は明確に答えられる人がいませんでした。

ただ、分かっていたことはあります。

それは、「ヘアスタイリング剤は髪型を作り、キープするためのもの」ということ。

つまり、

  • ①自由自在にスタイルを変えることができる(スタイリング力)

  • ②決めたスタイリングを長時間キープできる(キープ力)

この2点が、ヘアスタイリング剤に求められる機能だと言えるのではないでしょうか。

ヘアスタイリング剤にもいろいろあるけど…
ヘアスタイリング剤にもいろいろあるけど…

髪を立たせて、「立たせる力」を比べてみる!!

そこでヘアラボ編集部は考えました。

スプレー、ワックス、ジェル、ムース。

それぞれの違いを知るためには、自分たちの髪を使ってスタイリング力とキープ力を試してみればいいのでは?

思い立ったらすぐ試すのがヘアラボ編集チームの掟です。

さっそく次のような方法で実験をしてみることにしました。

<実験方法>

  • ①編集部員・Iの髪を使い、スプレー、ワックス、ムース、ジェルのスタイリング力とキープ力を試す。

  • ②スタイリング力とキープ力の検証のため、「髪を立たせる力」を実際に検証する

  • ③主要な量販店やインターネットショップで気軽に購入可能なものをそれぞれ4〜6個ずつ選び、

    1.朝10時に髪を立たせる。その際、どの程度自由にスタイリングできるか、髪を立たせることで検証する。
    2.夕方18時に、立たせた髪がどの程度維持できているかをチェックする。

  • ④スプレー、ワックス、ムース、ジェルの順で実験

つまり、朝にスタイリング剤を髪につけ、8時間後の様子を見よう、という実験です。

はたしてどんな結果になるのか、さっそく『ヘアスプレー』から試してみました!

…実験結果を発表する前に、「ヘアスプレーとは何か」から説明させてください。

そもそもヘアスプレーとは、液剤を吹き出し口から噴射して髪につけ、髪型を整えたり、つやを与えるためのもの。

その歴史は意外に古く、終戦直後の昭和23年、かの山野愛子さん(注1)が花精化学工業に「ヘアラッカー剤(注2)を霧状に噴射できないか」と相談したことから始まります。

花精化学工業はこれを受けて開発に着手し、昭和27年には商品化され生産が開始されました。

日本のヘアスプレーはかれこれ65年以上の歴史を誇る製品なのです。

これが花精化学工業のスプレー!
これが花精化学工業のスプレー!

花精化学工業が出しているスプレーと言えば、"ダイエースプレー"の名でヴィジュアル系の皆さんに親しまれているこのエレーヌヘアスプレーですね。

次に、ヘアスプレーの成分をチェックしていきましょう。 「立たせる」系のヘアスプレーにはほぼ入っている3大成分があります。

  • 溶剤(さまざまな成分を溶かす)としてのエタノール
  • 噴射剤(液剤を噴射させる)としてのLPG(液化石油ガス)
  • セット剤(髪を固める)としてのコポリマー・樹脂(おもにアクリル酸アルキル)

なかでも「立たせる」機能に直結するのはコポリマーで、これがどんな性能を持っているかによってスタイリング力やキープ力に違いが生まれると言えます。

そんな「立たせる」系ヘアスプレー、ヘアラボ編集部が実験してみます!

(注1)山野愛子さんは全国に90以上の美容室を展開するヤマノグループの創始者であり、山野美容専門学校の設立者で、日本美容界の母ともいうべき存在。

(注2)ヘアスプレーのこと。

いま買うことができるヘアスプレーが何種類あるのか、ご存じでしょうか。

かの日本最大級インターネット通販サイト、楽天で「ヘアスプレー」のランキングに載っているのは全部で186製品。

ここにすべての製品が載っている訳ではないでしょうから、おそらく200からのヘアスプレーが日本にはあるわけです。

それをすべて実験して試すのは、さすがに無理があります。

そこで今回は、以下の条件で対象商品を選定しました。

  • ①普通にコンビニ、スーパー、ドラッグストアで売っている

  • ②男性向け

編集部が店頭で購入できたのは、以下の4つのスプレーでした。

1.GATSBY  セット&キープスプレー スーパーハード 180g マンダム(参考価格:540円)

2.LUCIDO ヘアスプレー スーパーハード 180g マンダム (参考価格:770円)

3.ウーノ スーパーハード スプレー 170g 資生堂 (参考価格:650円)

4.HG スーパーハード スプレー 230g 資生堂 (参考価格:600円)

しかし、このラインナップを見て「大事なスプレーが抜けてます」と言い出したのが、今回カメラマンを務める別の編集部員でした。

「ヴィジュアル系の人が神器のように崇める『ダイエースプレー』と、タカラジェンヌの男役の髪型をセットしてきた『VO5緑缶』がないじゃないですか!」

5.エレーヌ ヘアスプレー スーパーハードA 235g 花精化学工業(参考価格:1,200円)

6.VO5スーパーキープヘアスプレイ エクストラハード 125g サンスター(参考価格:330円)

そうなのです。

実は、「ヘアスプレー コスプレ」「ヘアスプレー ヴィジュアル系」といったワードで検索すると、この2商品の話題ばかり出てきます。

とくに「ダイエースプレー」については数々の伝説が載っていますね。

その世界では欠かすことができないアイテムなのです。

以上で合計6商品。

これらの三大成分を表でまとめると次のようになります。

商品名 三大成分
GATSBY セット&キープスプレー スーパーハード 溶剤:エタノール
噴射剤:LPG
セット剤:アクリル酸アルキルコポリマーAMP
LUCIDO ヘアスプレー スーパーハード 溶剤:エタノール
噴射剤:LPG
セット剤:(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/アクリル酸アルキル)コポリマーAMP
UNO スーパーハード スプレー 溶剤:エタノール
噴射剤:LPG
セット剤:(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/アクリル酸アルキル)コポリマー
HG スーパーハード スプレー 溶剤:エタノール
噴射剤:LPG
セット剤:(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
エレーヌ ヘアスプレー スーパーハードA 溶剤:エタノール
噴射剤:LPG
セット剤:(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
VO5スーパーキープヘアスプレイ エクストラハード 溶剤:エタノール
噴射剤:LPG
セット剤:(アクレリーツ/アクリル酸アルキル/アルキルアクリルアミド)コポリマーAMP
これを毎日2商品ずつ、編集部員Iの前髪に付けてそのパワーを試してみることにしましょう。

まず、今回の実験の方法を確認しましょう。

  • 1.朝10時に髪を立たせる。その際、どの程度自由にスタイリングできるか、髪を立たせることで検証する。
  • 2.夕方18時に、立たせた髪がどの程度維持できているかをチェックする。

これによって、スタイリング力キープ力を確認することができます。

また、せっかくなので、

  • 3.香料が入っているものは香りの持続性を、10時と18時を比較して検証する。
  • 4.スプレーを水で洗って落とし、「落としやすさ」も検証する。

香り落としやすさも製品の魅力や使いやすさに直結する要素。

この2点も検証することにします。

それでは実験、開始!

初日はまず、編集部員・Iの前髪の向かって左側に「GATSBY セット&キープスプレー スーパーハード」を、右側に「LUCIDO ヘアスプレー スーパーハード 」を吹きつけ、立たせることにしました。

スプレー噴射
スプレー噴射

編集部員・Iによると、「ちょっと気持ちが良かった」

無事、ヘアスプレーによって立たせた髪がこちら。

バッチリ立ってます!
バッチリ立ってます!

編集部員がそっと髪を触ったり香りを嗅いだりして仕上がりをチェックした後、編集部員・Iは社内各所で失笑を買いながらも仕事に精を出し…。

対面のPCのモニターごしに見える、編集部員・Iの立たせた髪。
対面のPCのモニターごしに見える、編集部員・Iの立たせた髪。

やってきました、18時!

果たして結果はどうなったでしょうか!?

あまり変わらない…!
あまり変わらない…!

あまり変わらないように見えます!

分かりやすくするために、並べて見ましょう。

こうしてみると、AFTERの画像は左右ともわずかに垂れているのが分かります。

が、実際に自分の目で見た編集部員たちからは、「ほとんど変わらない」という評価でした。

では、香りはどうでしょう?

LUCIDOは無香料でしたが、GATSBYには香料が入っていました…。

頭部のニオイを恐る恐る嗅ぐ編集部員。
頭部のニオイを恐る恐る嗅ぐ編集部員。

結果は、「GATSBYの香りはほぼなくなっている」。

8時間を室内で過ごしましたが、香りは飛んでしまったようです。

そして最後は、オフィスの洗面所を使って水洗いをし、髪についたスプレーを落としましょう。

果たして、サッと成分を洗い流すことはできるのでしょうか?

これは完全に編集部員・Iの独断での評価になりますが、「どちらも、思ったより簡単に水で落ちる」。

「ただ、比べるとGATSBYのほうが落ちやすくて高評価」という意見でした。

こうして検証は終了。

編集部員協議の上、「GATSBY」と「ルシード」の評価を★の数で表すことにしました!

商品名 スタイリング力 キープ力 香り持続力 落ちやすさ
GATSBY セット&キープスプレー スーパーハード ★★★★★ ★★★★ ★★★★
LUCIDO ヘアスプレー スーパーハード ★★★★★ ★★★★ 無香料 ★★★

今回の実験で重視する「スタイリング力」はまったく問題なし。

天に向かって屹立する姿からはちょっとした格好良さまで感じられました。

「キープ力」は開始時/終了時の写真を並べて比べれば分かるレベルなので、ともに★4。

洗っての落ちやすさは、より落ちやすいGATSBYを★4と評価しました。

翌日は、UNOとHGの対決です。

どちらもメーカーは資生堂。果たして、前日好結果を残したマンダム勢に劣らぬ結果を出せるのでしょうか?

今回は「UNO スーパーハード スプレー」を前髪の向かって左側に、「HG スーパーハード スプレー」を向かって右側に吹きつけて実験開始です。

いい立ちっぷりです。
いい立ちっぷりです。

今回もいい立ちです。

立たせたところで髪の感触を確認し、香りをチェック。

オッサンの頭のニオイを嗅がされる若手編集部員…
オッサンの頭のニオイを嗅がされる若手編集部員…
女性であろうと、容赦なく嗅がされます。
女性であろうと、容赦なく嗅がされます。

そしてまた編集部員・Iは室内で仕事をこなし、8時間が経過したところで髪の状態を編集部員たちがチェック。

「UNOは少し下がってますね」 「HGはほとんど変わってなくないですか?」

こちらも並べてみましょう。

たしかに、写真で見てもUNOでスタイリングした髪は少し傾いているのが分かります。

一方でHGは、写真でも劣化が感じられませんね。

そして香料入りのUNOの状況は…やはり香りは抜けていました。ヘアスプレーでは、香りを持続させるのは難しいのかもしれません。

最後の水洗いですが…「どちらも、LUCIDOと同じくらいの落としやすさ」というのが編集部員・Iの評価でした。

まとめると、以下の表のようになります。

商品名 スタイリング力 キープ力 香り持続力 落ちやすさ
UNO スーパーハード スプレー ★★★★★ ★★★★ ★★★
HG スーパーハード スプレー ★★★★★ ★★★★★ 無香料 ★★★

3日目は、コスプレイヤー&ヴィジュアル系御用達のいわゆる「ダイエースプレー」「VO5緑缶」の出番です。

ダイエースプレーの正式名称は「エレーヌ ヘアスプレー スーパーハードA」です。

このエレーヌについては、大槻ケンヂの小説、『リンダリンダラバーソール』から一文を引用させてください。

バンドブームの頃、ほぼすべてのミュージシャンが髪を逆立てるのにダイエーのヘアスプレーを使っていたのだ。

出典: リンダリンダラバーソール (新潮文庫) | 大槻 ケンヂ |本 | 通販 | Amazon

ほぼすべてのミュージシャンが使ったという伝説のヘアスプレーが「エレーヌ ヘアスプレー スーパーハードA」なのです。

メーカーは、ヘアスプレーの元祖・花精化学工業ですね。

対する「VO5スーパーキープヘアスプレイ エクストラハード」は、タカラジェンヌの髪型を決めてきたという由緒あるヘアスプレーです。

「タカラジェンヌ御用達」――。VO5は、高いキープ力を保ちながらも、白い粉をふきにくいのが最大の強みだ。リーゼントが定番の宝塚歌劇団の男役や、激しい動きの舞台をこなす舞踊家、美容師らプロの評価が高く、それが人気の基盤になってきた。

出典: VO5(サンスター)  : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

どちらも根強い人気と歴史を誇る、ヘアスプレー界の重鎮です。

その「スタイリング力」と「キープ力」はいかほどなのでしょうか!?

これまでと同様、編集部員・Iの髪の向かって左を「エレーヌ」(ダイエースプレー)で、向かって右を「VO5緑缶」で固めました。

スタイリング力はどちらもバッチリ!
スタイリング力はどちらもバッチリ!

そっと触ってみたところ、どちらもガッチガチに固まっています。

これまでの4本よりも固い気がする、とは編集部員・Iの弁。

このまま仕事に戻って行きました。

珍妙な髪型でミーティングをする編集部員・I。
珍妙な髪型でミーティングをする編集部員・I。

8時間が経過したところで、さっそくスタイルの「キープ力」をチェックします。

あれ、変わってない?
あれ、変わってない?

編集部員たちの意見は、

「どちらもビックリするほど変わっていない!」

というものでした。

写真を並べてみましょう。

VO5で固めた髪がひと筋、額に掛かってしまっていますが、これはスプレーを付けすぎたため自らの重みに耐えられなくなったもの。

他の毛は、開始時とほぼ変わっていないように見られます。

いや、むしろエレーヌ(ダイエースプレー)は開始時より直立しているかもしれません。

まるで東京タワーのように凜として屹立しています。

そのキープ力には編集部員たちも興味津々の様子でした。

カッチカチやぞ!
カッチカチやぞ!

ちなみにこの2つのスプレーは無香料なので、香りのチェックはありません。

最後の水洗いへと参りましょう。

…と、ここでオフィスにある洗面所から、編集部員・Iの悲鳴が。

「エレーヌが全然落ちないんだけど!」

そう、エレーヌ(ダイエースプレー)は、とても落としにくいスプレーだったのです。

結局1分ほど水洗いしただけでは埒が明かず、最後は洗面台にあった「キレイキレイハンドソープ」で髪を洗って事なきを得たのでした。

今回の結果を表にすると以下の通りです。

商品名 スタイリング力 キープ力 香り持続力 落ちやすさ
エレーヌ ヘアスプレー スーパーハードA ★★★★★ ★★★★★ 無香料
VO5スーパーキープヘアスプレイ エクストラハード ★★★★★ ★★★★★ 無香料 ★★★

以上、計3日を費やして実際にヘアスプレーの「髪を立たせる力」を実験してみました。

8時間髪を立たせっぱなしにしてみて初めて分かったのは、

  • スタイリング力は、どのヘアスプレーでも素晴らしい
  • 髪型のキープ力は、製品によって多少の違いがある
  • 香りがついているスプレーもあるが、香りは8時間も持たない

の3点です。

どれも配合成分的には似たように思えますが、実際にはそれぞれ使用感はかなり個性的なのも今回わかりました。

とくにエレーヌ(ダイエースプレー)は、いろいろな意味で印象深いものがありますね。

最後に、採点結果をまとめましょう。

この表を、ぜひ自分の用途に合ったヘアスプレー選びにいかしてください!

商品名(参考価格) スタイリング力 キープ力 香り持続力 落ちやすさ
GATSBY セット&キープスプレー スーパーハード
(540円)
★★★★★ ★★★★ ★★★★
LUCIDO ヘアスプレー スーパーハード
(770円)
★★★★★ ★★★★ 無香料 ★★★
UNO スーパーハード スプレー
(650円)
★★★★★ ★★★ ★★★
HG スーパーハード スプレー
(600円)
★★★★★ ★★★★ 無香料 ★★★
エレーヌ ヘアスプレー スーパーハードA
(1200円)
★★★★★ ★★★★★ 無香料
VO5スーパーキープヘアスプレイ エクストラハード
(330円)
★★★★★ ★★★★★ 無香料 ★★★


<<次号予告>>

ヘアスプレーが髪をバリバリに固めてくれることは分かった。 次回は満を持してヘアワックスが登場です!

「スーパーハード」「バッチリキメてくずさない」などなど、ヘアワックスのパッケージに書いてある謳い文句は本当なのか?

ヘアラボ編集部員が自分の髪で試します!