目次

  1. 側頭部も薄毛になる?
  2. 側頭部の薄毛はAGAによるものではない
  3. 《側頭部の薄毛》の原因と対策①甲状腺機能低下症
  4. 《側頭部の薄毛》の原因と対策②円形脱毛症
  5. 《側頭部の薄毛》の原因と対策③牽引性脱毛症
  6. 《側頭部の薄毛》の原因と対策④トリコチロマニア(抜毛症)
  7. 《側頭部の薄毛》の原因と対策⑤生活習慣の乱れ
  8. 側頭部を薄毛から守るために

側頭部が薄毛になってしまった

原因や対策が知りたいけど、ネット上には「生え際や頭頂部」の薄毛対策のことばかり…。

「側頭部の薄毛の原因には、どんなものがあるの?」

「どんな対策を講じれば、側頭部の薄毛が治る?」

今回はそんな声にこたえ、側頭部の薄毛の原因と対策についてまとめてみました。

まずはじめに、側頭部の薄毛はAGA(男性型脱毛症)によるものでは「ない」と考えられます。

AGAは、最も一般的な加齢性・進行性の脱毛症。

AGAの典型症状は「M字ハゲ」(前頭部の薄毛)や「O字ハゲ」(頭頂部の薄毛)であり、側頭部は通常、薄毛になりません(注1)

下の図をご覧ください。これはAGAの進行の様子をあらわしたものです。

ご覧のように、かなり進んだAGAでも、側頭部の毛は残っています。

側頭部が薄毛になる原因としては、AGA以外の、よりマイナーな症候を考える必要があるのです。

注1:より専門的にいうと、AGAで側頭部がハゲにくいのは、側頭部には酵素「Ⅱ型5αリダクターゼ」が少なく、AGAの原因物質である男性ホルモン「DHT」が生成されにくいためです。

側頭部の薄毛、考えられる原因のひとつが、甲状腺機能低下症です。

甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」には、髪の成長をうながす作用が。

その「甲状腺ホルモン」が、何らかの理由により十分に分泌されなくなると、髪が成長しきらずに抜けていき、薄毛が進んでしまうのです。

なにも「側頭部に限って薄毛が進む」わけではありませんが、AGAと違い、「側頭部にも十分及びうる」脱毛現象です。

甲状腺機能低下症を防ぐには?

甲状腺の機能が低下する原因はさまざまであり、ここで網羅的に解説することはできません。

基本的に、「脱毛・皮膚乾燥・むくみ・しゃがれ声」などの諸症状が見られ、甲状腺機能低下症の疑いがあるときは、内科を受診しましょう

一例をあげますと、海草(特に昆布)を食べすぎ、ヨウ素を摂取し過ぎると、甲状腺の機能低下を招いてしまうとされています。

「海藻を食べるとハゲが治る」という迷信がありますが、むしろ「海藻の食べすぎでハゲてしまう」こともある…皮肉な話です。

側頭部の一部の毛がまとまって抜けて薄毛を呈しているなら、それは円形脱毛症かも知れません。

円形脱毛症、人呼んで「10円ハゲ」。発症は場所を選ばず、側頭部に生じることもあります。

また、円形脱毛症の一種に、後頭部から側頭部(耳の上)にかけて帯状に脱毛する「蛇行性脱毛症」というものもあります。

一般に、面積の小さな(それこそ「10円」サイズの)脱毛ならば、数年以内に毛が生えそろうことが多いとされます。

しかし、「蛇行性脱毛症」のような広範囲の脱毛の場合、回復する例はむしろ少ないとのことです(参照1)

参照1:「円形脱毛症の治療とその限界」、佐々木りか子、2006年

円形脱毛症の原因と対策

「円形脱毛症はストレスで起こる」とよく言われますが、話はそう単純ではないようです。

「精神的ストレス」「ウィルス感染」「肉体的な疲労」…どれをとっても「経験的な考えであり、明らかに証明されたものではない」そう(参照2)

発症メカニズムが良く分かっていないため、「予防」は困難ですが、有効な「対処法」は存在します(注2)

ひとつは、ステロイド剤の外用

クリームまたはローション状のステロイド剤を患部に塗布することで発毛が促されるとされ、国内に多くの診療実績があります。

まずは皮膚科を受診しましょう。

もうひとつは、かつらの使用

円形脱毛症は「健康上の問題」というよりは、「整容的な(外見上の)問題」。

特に「蛇行性脱毛症」のような広範囲の円形脱毛症は、治療も難しく、かつらを使用して「見た目を変える」ということも、現実的な選択肢になってきます。

参照2:『脱毛症治療の新戦略』、中山書店、2011年

注2:以降の記述は日本皮膚科学会が医師向けに作成した円形脱毛症診療ガイドライン(2017年)をもとにしています。同ガイドラインで、「ステロイド外用」と「かつら」は、ともに推奨度B(行うよう勧める)。なお、推奨度A(行うよう強く勧める)の治療法は存在しません。

側頭部の薄毛の原因として、牽引性脱毛症も考えられます。

「牽引(けんいん)」とは、「引っ張る」という意味。

ポニーテールやお団子ヘアなどで髪の毛を引っ張ると、その引っ張る力によって、髪が抜けてしまう恐れがあります。

もっとも、健康な髪なら、すぐに抜けてしまうようなことはありません。でも、「集めて結ぶ」髪型を一年中しているようなら、要注意

たまには髪型をかえて、前頭部や側頭部の髪の根元を休ませてあげましょう。

保護者の皆さんへ。

もしお子さんの側頭部が「不自然」かつ「まばら」な薄毛を呈しているなら、それはトリコチロマニア(抜毛症=ばつもうしょう)によるものかもしれません。

トリコチロマニアは児童、とくに女児に多く、「家庭内不和、受験、いじめなどのストレスを契機として発症する(参照3)とされます。

成人の方でも、うつ状態などの重度な精神疾患の部分症状として、トリコチロマニアに陥ることがあります。

治療法としては、

  • 1~2週に1度の頻度で、医師・両親・本人の三者で、学校のこと、家庭のことなどをゆっくり話し合う
  • 2か月以上たっても抜毛が止まらないようなら、精神科を受診する

こうした段階的アプローチが推奨されています。

参照3:上掲『脱毛症治療の新戦略』

これは側頭部に限った話ではありませんが、一般に、乱れた生活習慣により髪・頭皮の状態が悪化し、薄毛が進んでしまうと言われています。

「食生活」「睡眠」を例にとってみましょう。

食生活

偏った食生活は、薄毛の原因になり得ます。

髪はタンパク質の一種であるケラチンからできており、ケラチンが体内で合成されるためにはビタミンミネラルが必要。

したがって、少なくとも「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」の3栄養素は必須です。

ほかにも様々な栄養素が関わりあって吸収がなされ、機能が発揮されますので、要はバランスの良い食事が大事ということです。

睡眠

睡眠不足も薄毛の原因になり得ます。

髪の成長を促す成長ホルモンは寝ている間、とりわけ「深い睡眠」の最中に出るとされます。

眠りが浅いと、成長ホルモンの恩恵を十分に受けられなくなる恐れがあります!

対策としては、身体・脳を興奮させるような行動を就寝前にとらないこと。たとえば、スマホ・PCの強い光を浴びながら寝るのはNG。

ぬるめのお風呂に入って身体を温め、脳をリラックスさせて、深い眠りに入っていけるようにしましょう。

以上、側頭部の薄毛の、考えられる原因と対策を見てきました。

いま一度、振り返ってみましょう。

  • 甲状腺機能低下症
    →内科を受診!
  • 円形脱毛症
    →皮膚科を受診!
  • 牽引性脱毛症
    →髪型を変える
  • トリコチロマニア
    →皮膚科または精神科を受診!
  • 生活習慣の乱れ
    →生活習慣の改善

適切な対応で、側頭部を薄毛から守りましょう!

※側頭部の薄毛の原因として、しばしば「眼精疲労」が取り上げられます。目を酷使し、疲れさせると、目の周辺の血流が悪くなり、その影響で側頭部の脱毛・薄毛が進む…というもの。しかし、信頼できるソース(医院、医師、学会、研究者等)による裏付けが見当たらないため、本記事では取り上げていません。