目次

  1. ノコギリヤシの効果、副作用、安全性を3つの臨床データから徹底検証
  2. ノコギリヤシの効果・有効性を簡単に説明
  3. ノコギリヤシの<副作用>と<安全性>の違いとは?
  4. 小林製薬の臨床実験からみる安全性
  5. インデナの臨床実験からみる安全性
  6. 静岡県立大学薬学部の臨床実験からみる安全性
  7. ノコギリヤシの副作用と安全性についての総評

米国では古くからネイティブアメリカンの間などで、体に良いと言い伝えられる「ノコギリヤシ」。

最近では、薄毛にも効果があると言われ、育毛剤やサプリメントなど、さまざまなヘアケア用品にも使われています。

その一方で、ノコギリヤシへの安全性を懸念する声があることも事実。

そこでヘアラボがノコギリヤシについて調査したところ、ノコギリヤシの安全性に関しての臨床実験を行なっている製薬会社や研究機関のデータがいくつか見つかりました。

その中から3つの研究機関をピックアップ。

  • 小林製薬:大阪に本社を置く、医薬品と衛生雑貨を取り扱う明治創業の老舗企業
  • インデナ:医薬品・健康食品・化粧品業界で使用される植物由来の有効成分を発見・開発・生産しているイタリアの民間企業
  • 静岡県立大学:1987年に発足した公立大学。今回の研究は薬学専攻、 薬科学専攻、 薬食生命科学専攻と3つの専攻を置く薬学部が実施

この3つの研究データを元に、ノコギリヤシの安全性を検証していきます。

まずは、ノコギリヤシの効果・有効性について簡単に見ていきましょう。

ノコギリヤシとは、米国東部原産の低木のヤシ。

ヨーロッパでは前立腺肥大症の治療薬として古くから使用され、多くの臨床試験により有効性が確認されています。

薄毛に効果があると言われるのは、ノコギリヤシが、5αリダクターゼという、薄毛や抜け毛の原因をつくる酵素の働きを抑えると考えられているから。

ただし、現時点では、薄毛への効果の実証データや科学的根拠はなく、その効果は厚生労働省に認められてはいません。現在、研究が進められている段階です。

続いては、ノコギリヤシの<安全性>と<副作用>の違いについて。
この2つは、やや混同されがちな傾向にあります。

定義の違いを述べると…

  • 副作用(side effect):主作用でない作用(すなわち主作用には関連のない薬理作用)

  • 安全性(safety):生物学的なリスクが一定排除されている状態

複数の効果が認められている時点で、ある効果のみを得ようとすると、有害でなくとも他の効果は副作用として扱われることになります。

要するに、これからノコギリヤシに関して述べる「安全である」ということは、「副作用がない」ということではない。その点を先にご理解ください。

では、ここから製薬会社や研究機関が行ったノコギリヤシの安全性に関しての臨床実験を詳しく見ていきましょう。

最初の小林製薬の臨床実験は『ノコギリヤシ・クコの実・ヤマイモ含有食品の日本人軽度前立腺肥大症患者における臨床評価』です。

検証内容と結果

【方法】
事前問診により軽度前立腺肥大症と認められた日本人男性12名を対象に実験。

うち6名には、小林製薬の健康食品である『ノコギリヤシEX』(ノコギリヤシエキス320mg/日配合の市販品)を8週間摂取

残りの6名はプラセボ(ノコギリヤシ成分を含まない錠剤)を摂取させました。

【結果】
実験の結果、試験期間中に重篤な副作用は確認されず、ノコギリヤシ EX 摂取群は血液検査においても、プラセボ群と差は認められなかったと言及。

前立腺症状も改善が認められたと発表しています。

安全性への言及

以上の結果を受け、小林製薬は、
「ノコギリヤシエキス配合の市販である『ノコギリヤシ EX』 は、有効かつ安全である可能性が示された」と述べています。

続いてはインデナが行った臨床実験です。

こちらでは9つの治験が行われていますが、すべて紹介すると分量が多すぎるため、対象者が最も多かった実験を紹介します。

実験資料『ノコギリヤシ果実抽出物特に良性前立腺肥大に伴う諸症状の改善用として開発臨床および薬理データによる有効性の裏付け』より。

検証内容と結果

【方法】
2000名の軽前立腺肥大の男性に対し、インデナ社が製造したノコギリヤシエキス「サバルセレクト」160mg を、1日 2 回、12 週間投与

【結果】
夜間頻尿(夜間に排尿のために起きねばならない)は症例の約 60% で減少し、排尿障害 (排尿時の痛み、または排尿困難) は患者の62.5% まで緩和したと発表。

安全性への言及

以上の結果を受け、インデナは、
『サバルセレクト』の使用において、安全性(忍容性)は"非常に良好"であり、ノコギリヤシ果実抽出物は、安全であることが明らかとなっていると発表しています。

最後は、静岡県立大学薬学部の臨床実験です。

これはノコギリヤシ果実抽出液の有効性や安全性を検討したもので、ラット(ネズミ)を使った実験が行われています。

実験資料『ノコギリヤシ果実抽出液の排尿機能及び下部尿路受容体に対する作用』より。

検証内容と結果

【方法】
ネズミに対し、ノコギリヤシ果実抽出液6.6mg/kgを4週間、反復投与

【結果】
ノコギリヤシ果実抽出液を投与したネズミの血液、肝機能などについて、有害な影響は及ぼさなかったと発表しています。

安全性への言及

以上の結果を受け、静岡県立大学薬学部は、
ノコギリヤシ果実抽出液について、医薬品との併用においても、(安全性において)相互作用の可能性は少ないと言及しています。

ここまで見てきたように、ノコギリヤシには一定の効果が認められる結果も出ています。

それは同時に、一定の副作用が起こる・または起こる可能性があることを示唆しているということ。

しかし、安全性に関しては「有効かつ安全」「慢性使用においても安全性は非常に良好」と言及されていたように、一定確認されているようです。

ただし、今回の実験は、一定の摂取量を管理した上で行われており、それ以上の量を摂取したときに関しては言及されていません。

結論として、育毛のためにノコギリヤシなどの摂取を考える場合は、その含有量・自分の身体の変化などに注意しながら服用すべきであると言えます。

サプリメントなどの商品に書かれた用法用量をしっかり守ったうえで、使用しましょう。

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参考文献
[1] ノコギリヤシ・クコの実・ヤマイモ含有食品の日本人軽度前立腺肥大症患者における臨床評価 , 小林製薬 , http://www.jcam-net.jp/data/pdf/11077.pdf
参考文献
[2] コギリヤシ果実抽出物特に良性前立腺肥大に伴う諸症状の改善用として開発臨床および薬理データによる有効性の裏付け , インデナ , http://www.genryoubank.com/item_file?id=4189&cid=30&str=ae6a68b63b08f8c71440d21605ed331c
参考文献
[3] ノコギリヤシ果実抽出液の排尿機能及び下部尿路受容体に対する作用 , 静岡県立大学薬学部 , https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/4/2/4_2_41/_pdf
参考文献
[4] 副作用について理解しよう , 医薬情報委員会プレアボイド報告評価小委員会 , https://www.jshp.or.jp/banner/oldpdf/p50-9.pdf