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「俺の毛根は死んでいるからもう復活することはないね!」
と、自虐的に笑ってみせている薄毛の方も、心では涙を流しているのではないでしょうか。
毛根が死んで髪が復活してこないと考えると、すごく悲しい気持ちになってきますよね?
でも、ちょっと待ってください!
本当に毛根が死ぬなんてことはあるの*でしょうか?
本当にあの頃の髪はもう復活しないのでしょうか?
この記事では、髪の復活を夢見るそんなあなたのために、毛根の再生・復活について徹底解説していきます。
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「毛根の死滅」の真相を知るためには、世間一般的に言われる「毛根」という言葉から正しく知る必要があります。
まずは世の中的に「毛根」と呼ばれている、抜け毛や薄毛に起因する部位の実態を知っていただき、その部位が死滅することはあるのかという疑問点を解決していきます。
毛根と毛包を正しく理解しよう
まず、そもそも「毛根が”死ぬ”」(何らかの原因で再生しなくなる)=髪が生えない」という認識は間違っています。
髪が復活しなくなってしまうのは、ほとんどの場合「毛包」が機能しなくなるためです。
「毛根」ではなく「毛包」ですよ。
それぞれ違いは以下の通りです。
- 毛根:髪の毛のうち、皮膚(頭皮)の下に隠れている部分全体
- 毛包:髪の毛の根本部分を包んでいる器官。髪の毛が生まれ、成長する場所

髪の毛は2〜6年ほどでその一生を終え、生え変わるのですが、その髪の毛の再生・復活に重要な部位が「毛包」なのです。
つまり、抜け毛や薄毛において注意しなくてはならないのは「毛根」ではなく「毛包」だということですね。
毛包は死滅するのか?

では「毛包が死ぬ」ということはあるのでしょうか?
例えば大やけどなど怪我で皮膚の深部にまでダメージが及ぶと、二度と髪の毛は復活しなくなります。
このような抜け毛の症状を「瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)」といいます。
これを「毛包の死滅」と定義づけることができるでしょう。
しかし、実はこの毛包、皮膚の内部にまでダメージが及ばない限りは、そう簡単には壊れたり、なくなったりすることはありません。
男性にもっとも多い脱毛症である男性型脱毛症(AGA)は、毛包の成長期が短くなる「ミニチュア化」が起きることで毛の成長が不十分になる現象です。
徐々に髪の毛を成長させることのできない「休止期」のままの毛包が増えていくのです。
特別何かを行わない限り、毛が復活・再生しなくなる。という点では、「死ぬことに近い」といえますが、厳密には「ただ単に機能が停止している状態」になっているだけなのです。

それでは、休止している毛包を目覚めさせることができるのかというと…。
世に言う「毛髪再生治療」が、休止中の毛包を活性化させる治療法に当たります。
ただし、方法や効果もさまざまで、「この方法が一番髪が復活しやすい」「絶対効く」と言えるような治療法はありません。
抜け毛や薄毛に悩む方が、主に利用している治療法は以下の3つです。
- グロスファクター(グロースファクター)療法
- HARG®(ハーグ)療法
- 脂肪肝細胞療法
いずれも休止中の毛包にある、幹細胞の働きを活性化させて髪を復活させる治療法です。
簡単に、それぞれの治療法について解説していきます。
グロスファクター療法
グロスファクター療法は、“成長因子の不足”に着目した毛髪再生治療法です。
成長因子の役割は、髪の毛の成長に必要な信号を発信するというもの。
この成長因子が頭皮において不足すると、信号が発信されなくなり、薄毛になってしまいます。
そこで、頭皮に不足した成長因子を薬剤で注射し補うのが、この治療法なのです。
HARG®︎(ハーグ)療法
HARG®︎(ハーグ)療法は、AAPE® powderと呼ばれる特殊な薬剤を用いた毛髪再生治療です。
おおよそ20~30分ほどで施術でき、アレルギーや副作用などのリスクも低いと言われています。
現在、医療機関で最も多く取り扱われている毛髪再生治療です。
脂肪幹細胞療法
幹細胞は、簡単に説明すると細胞を生む役割を持つ細胞です。
脂肪由来のこの幹細胞を患者自身の体から採取・培養して、脱毛の気になる部分に注射することで、休眠状態の毛乳頭や毛包幹細胞に活力を与えて発毛を促す毛髪再生治療です。

さらに、現在研究が進んでいる2つの毛髪再生治療もご紹介します。
どちらの研究も、死滅してしまった毛包を復活・再生させられる可能性があるものです。
①京セラの研究
京セラが研究している技術は、毛包の基礎となる細胞の集合体“毛包原基”をつくって脱毛箇所に移植し、毛包そのものを再生・復活させる方法です。
マウス実験では3週間で「1平方cmあたり124本」の発毛に成功していて、京セラは、この技術は「2020年の実用化を目指している」と発表しています。
②iPS細胞の研究
さまざまな細胞や組織を成長させると言われているiPS細胞を用いた毛髪再生治療の研究では、すでにマウス実験でも発毛に成功しているそうです。
こうしたiPS細胞をつかった毛髪の再生は、毛包の構造が完全に失われる瘢痕性(はんこんせい)脱毛症の方たちの治療にも役立つ可能性があります。
しかし、ヒトへの臨床研究なども行われていないことから、実用化はまだまだ先になりそうですね。

俗にいう「毛根が死んでいる」状態の方でも、毛髪再生治療を用いれば今後髪が復活する可能性は十分にあるということはご理解いただけましたか?
また、何らかの理由で毛包が死滅し、瘢痕性脱毛症になってしまった方でも、未来の毛髪再生治療であれば髪の毛の復活を望める可能性があることもお伝えしました。
毛髪再生治療が気になる方は、一度お近くの専門クリニックに足を運んで、詳しい概要を伺ってみてください。
薄毛治療を諦めず、あの頃の髪をもう一度復活させましょう!
ここで紹介したような主な毛髪再生治療や、未来の毛髪再生治療について詳しく知りたい方は、以下の関連記事もチェックしてみてくださいね。
参考文献
1 古江増隆・坪井良治, 脱毛症治療の新戦略, 中山書店, 2011
2 八木原陽一, 毛髪の科学と診断, 薬事日報社, 2012