目次

知らないうちに肩や首元にたまっている、厄介なフケ。
フケとともに生じる頭皮の炎症やかゆみも常にストレスを感じますし、何より人に気づかれないか、いつもびくびくしていないといけないのはとても嫌ですよね。
そんなフケを市販薬で対処したいと考えている方のために、そもそもフケは市販薬で治せるのかや皮膚科に相談すべき症状や治療薬の詳細をご紹介していきます。
通常、頭皮はターンオーバー(新陳代謝)を繰り返していても、古くなって剥がれ落ちた表皮は目で見えないほど小さいものです。
しかし、乾燥や炎症によって頭皮にかゆみを感じていじりすぎたり、何らかの要因よってターンオーバーが上手くいかなくなったりすると過度に表皮が剥がれ落ち、フケとなってしまうのです。
その“何かしらの問題”は、大きく分けると以下の<3つ>に分類されています。
- 生活習慣
- 体質
- 疾患
フケが発生している状況は、生活習慣や体質、疾患など、体の内部で起こっているトラブルが引き金となり作り出されているケースがほとんどなのです。
では、そんなフケを市販の薬で治すことはできるのでしょうか…?
先ほども説明した通り、フケはそもそも体内で起こっている何らかの問題が影響して頭皮のターンオーバーが崩れてしまっていることで起きています。
「フケに効く」と言われている市販薬は、フケを治すというよりも、フケを伴う頭皮の炎症を和らげる・かゆみを抑えるという役割を持ったものなので、体内で起きている問題に直接作用してフケを改善することはできないのです。
しかし、市販薬は“フケを伴う軽い炎症やかゆみの対処”には効果を発揮してくれるので、応急処置的な使用はおすすめです。
すこし使用してみて、フケや乾燥、かゆみなどの症状が収まったという場合は様子を見てみてもいいですが、むやみに自己判断しないこと。
市販薬の使用をやめてからすぐに症状が戻ってしまった場合は、皮膚科への相談も念頭に置いておきましょう。

フケを伴うかゆみや炎症が気になり、応急処置的に市販薬を使いたいとき、“どのような効果をもった薬があるのか”は知っておきたいですよね?
フケを伴うかゆみや炎症を抑えてくれる市販薬は、大きく分けると<2つ>あります。
それぞれ、特徴や効果について解説していきますね。
外用薬:抗ヒスタミン
市販の抗ヒスタミン外用薬は、かゆみのもとであるヒスタミンの体内発生を抑えたり、すでに発生したヒスタミンの作用をブロックしたりする役割を持っています。
かゆみそのものにアプローチすることで、衝動的に皮膚をかいて傷つけることを防止して、皮膚炎が悪化しないようにしてくれる薬です。
抗ヒスタミン剤は眠くなるものもありますので、眠くならない抗ヒスタミン剤を処方してもらいたい時は、医師に相談しましょう。
外用薬:ステロイド
市販のステロイド剤は、軽度の湿疹や炎症を鎮める効果が期待できます。
ステロイドと耳にすると効果がある反面、副作用が強いイメージがあるかと思いますが、市販されているステロイドは皮膚科で処方されるものよりも作用が穏やかです。
ただし、症状が落ち着いたら使用はなるべく早めにやめてください。
特に、頭皮は皮膚が薄く薬剤を吸収しやすいため、長期間にわたる使用によって皮膚の硬化やただれなどの副作用が出る可能性があるので注意してください。

生活改善やヘアケア用品の見直し、市販薬での応急処置など…。
「フケを抑えるのに有効」と言われているのに、どうにもフケが収まらなかったり、かゆみやその他の症状が治らないという場合は、皮膚科に相談してみましょう。
なかなか治らないフケは、“フケを伴う頭皮の疾患”である可能性があります。
その疾患の例としてあげられるのが、以下の3つ。
- 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
- 頭部白癬(とうぶしらくも)
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
それぞれ、どのような症状が起きるのかをお伝えしていきますので、ご自身に当てはまるものがないかを確認してみてください。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎とは、皮膚にいるカビ菌によって皮脂が分解され、その分解されたものが皮膚を刺激して炎症がおきてしまう状態のことを指します。
頭はもちろん、顔や脇、胸など…。
いわゆる皮脂分泌の豊富な部分に、ふけのようなものや赤み、痒みが生じる疾患です。
主に中年から発症するケースが多く、フケが目立つ程度の軽いのものから、赤みが広範囲に広がり炎症が目立つようなひどいものなど、症状はさまざま。
脂漏性皮膚炎は、皮膚科で処方される薬での治療以外にも、現状を悪化させないために細かい肌のお手入れや生活習慣の改善も必要になります。
具体的な対処法に関しては、フケや湿疹の原因は“脂漏性皮膚炎”かも!一体どんな疾患?治療はできる?という記事の中で説明していますので、ご確認ください。
頭部白癬
白癬とは、いわゆる“水虫”のこと。
皮膚糸状菌というカビによって生ずる感染症で、国民の5人に1人は足白癬に、10人に1人は爪白癬に感染しているといわれています。
皮膚糸状菌は、髪の毛の材料となっているケラチンというたんぱく質を栄養源にして生きている菌なので、顔や体のいたるところに感染します。
頭部白癬はその菌が頭皮に感染した状態のことを指します。
この疾患は、外用薬だけでなく、症状の状態によっては内服薬が用いられることがあります。
尋常性乾癬
尋常性乾癬は、分厚いフケが付着した紅い斑点が皮膚にできる疾患です。
すねや膝、肘、髪の毛の生え際などに出現することが多く、時として激しいかゆみも伴います。
通常、皮膚の細胞は1か月程度でターンオーバーを繰り返していますが、乾癬の方は、その新陳代謝が4~7日とかなり短くなっており、死んだ皮膚の細胞が厚いフケとして現れます。
症状の改善や悪化が繰り返しやすい病気なので、「治療が難しい病気の一つ」と言われています。

ここの段落では、先に説明したような炎症が起きた場合に、皮膚科ではどのような薬を主に処方してもらえるかについて、お伝えしていきます。
外用薬:抗真菌薬・抗菌薬
皮膚科で処方される抗真菌薬・抗菌薬は、フケの原因となるマラセチア菌などの真菌や炎症によって増殖する細菌を退治する役割を担っています。
市販薬でも抗真菌薬や抗菌薬は存在するのですが、市販されているものは白癬菌に効く成分だけでなく、かゆみ止めであるクロタミトンや局所麻酔薬のジブカインなどが配合されているものがほとんど。
そのため、皮膚科の薬よりも治りが遅くなってしまったり、かぶれてしまったりすることがあるので、抗真菌薬・抗菌薬を皮膚科に処方してもらうのがおすすめなのです。
作用は比較的穏やかであるため、症状の改善が見られるまでには時間がかかります。
治療に用いる主な症状:頭皮白癬、脂漏性皮膚炎
外用薬:ステロイド
ステロイドは、効果の強い順から以下のように分類されています。
- strongest
- very strong
- strong
- mild
- weak
市販では、「mild」までしか販売を許されていないステロイドですが、皮膚科では5段階すべてのステロイドを処方してもらえます。
しかし、効果が強くなるほど、皮膚への刺激も比例して強くなるので、薬を使える部位や使用期間などはかなり厳密に限定されます。
自己判断での使用は大変危険なので、必ず医師や薬剤師の指示に従って利用しましょう。
市販薬の説明でもお伝えしたのですが、ステロイドはフケそのものをなくすものではなく、あくまで強く現れている炎症やかゆみを鎮静させるために使用されるものになります。
治療に用いる主な症状は脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬など。
内服薬
先ほどご説明した3つの疾患の治療には、主に外用薬が用いられるのですが、状態によっては以下のような内服薬が処方されます。
- 抗ヒスタミン剤
- 抗アレルギー剤
- ビタミン剤
市販薬の段落でもお伝えした通り、抗ヒスタミン剤はかゆみのもとであるヒスタミンの体内発生を抑えたり、すでに発生したヒスタミンの作用をブロックしてくれる薬です。
抗アレルギー剤も、抗ヒスタミン剤と同様、起こっている炎症を抑えるために用いられます。
また、ビタミン剤は皮脂分泌をコントロールするために処方されることがあるようです。

ここまで、「フケは市販薬でも治るのか」や「皮膚科に相談するべき“疾患”と“治療薬”」について、お伝えしてきましたがいかがでしょうか?
市販薬は、フケの根本的な治療はできなくても、“フケを伴う痒みや炎症を抑えることができる”ということが分かったと思います。
しかし、そもそもフケを伴うかゆみや炎症、乾燥を長期的に市販薬で紛らわせ続けるのは理想的ではありません。
「なかなか治らないな」と感じることがあったら、すぐ皮膚科に相談しに行きましょう。
きっと、医師や薬剤師さんが症状に合う薬を処方して、フケのお悩みを根本から治療してくれますよ。