目次

  1. 円形脱毛症治療法「ステロイドパルス療法」とは?
  2. ステロイドパルス療法の効果は?
  3. ステロイドパルス療法は危険じゃないの?
  4. ステロイドパルス療法を行う際の注意点
  5. 円形脱毛症の入院治療に関しては医師と良く相談しましょう

円形脱毛症の治療方法は様々

ある日突然、頭髪が抜け落ちる円形脱毛症。世の中にはたくさんの治療方法が存在します。

まず、脱毛部分を軽くかぶれさせる局所免疫療法。

それから、「セファランチン」や「グリチルリアン」、「抗ヒスタミン薬」などの薬を使用する方法、紫外線を皮膚に照射する紫外線療法なども行われています。

その他、ステロイドを局所注射したり、内服したりする治療方法も存在しますが、このステロイドを 「短期間で大量に点滴する」方法が存在します。

この治療方法は一般的に「ステロイドパルス療法」と呼ばれ、円形脱毛症治療の最終手段として認知されています。

「ステロイドパルス療法」とは具体的にどんなもの?

ステロイドパルス療法は、メチルプレド二ゾロンという副腎皮質ステロイドを点滴投与する治療法です。

その量は内服する場合と比べ、実に10~20倍とされていて、それを3日間にわたって続けます。

この3日間を1クールとし、期間を置きながら3クールほど治療を続けることもあります。

ステロイドパルス療法の特徴や詳細

『脱毛症治療の新戦略』によると、ステロイドパルス療法は主に発症後6か月以内で、急速進行中の、脱毛が全頭にまで至っていない症例に有効であるとされています。

典型的な有効例では、ステロイドパルス療法ののち、2~3か月目より治療効果が見られることが多いようです。

実際のところ、ステロイドパルス療法には、どの程度の効果があるのでしょうか。

「日本皮膚科学会による円形脱毛症のガイドライン」を見てみましょう。

これは、円形脱毛症当事者のためのものではなく、あくまで医師用のガイドラインですから、その点は注意が必要ですが、参考にはなるでしょう。

ここでは、「点滴静注ステロイドパルス療法の発毛効果に関しては,比較的高い水準の根拠がある」とされています。

短期間に大量のステロイドを点滴するやり方であるため、うまくいけば一気に症状を改善することができるかもしれません。

ただし、同ガイドラインには、

その効果は発症早期例ほど顕著で、発症6カ月以内の症例では59%(101例中60例)に著効したが、6カ月以上の症例では著効例は16%(38例中6例)と低かった

出典: 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2010

とも記されており、比較的初期の脱毛症に対しては有効である可能性が高い一方、発病から数年が経ち、症状が固定期に入った病状に対してはあまり効果を示さないようですね。

副作用はある?

ステロイドパルス療法は、副作用があることで有名なステロイドを一度に大量に投与する治療法ですから、当然、副作用が心配されます。

しかし、短期間に医師の指導のもと投与するに留まるため、重度の副作用の心配は少ないよう。

とはいえ、軽度の副作用はいくつか報告されていますので、一緒に確認をしていきましょう。

ステロイドパルス療法の副作用(1)感染症にかかりやすくなる

ステロイドが免疫を抑制する作用があるため、ステロイドパルス療法での治療中は、インフルエンザや肺炎といった感染症にかかりやすくなってしまいます。

そのため、治療中はこれらの感染症にかからないよう、最大限に注意する必要があります。

ステロイドパルス療法の副作用(2)頭痛、発熱、吐き気など

次に、ステロイドパルス療法での治療中には、不眠、頭痛、動悸、発熱、生理不順といった症状が出ることもあります。

しかし、これらは基本的には一過性のものであり、多くの場合、治療の終了後には回復します。
ステロイドの副作用としては軽度のものだと言っていいでしょう。

調査の結果、このようなニュースも

ヘアラボ編集部で調査してみたところ、ステロイドパルス療法による死亡事故が存在していたことがわかりました。


ステロイドパルス療法中に患者死亡 岐阜市民病院


これは、ステロイドパルス療法による治療の最悪のケースと言っていいでしょう。

ただし、これはあくまで可能性のひとつということであって、ステロイドパルス療法に常に危険がともなうということではありません。

もし心配でしたら、その副作用の可能性も含めて皮膚科の医師と良く相談し、危険性がないかどうか確認した上で、治療を行うようにしておきましょう。

このように、円形脱毛症に対する有効性も顕著なステロイドパルス療法ですが、いくつか注意点もあります。

子供には使えない

ステロイドパルス療法は、どのような副作用が出るかわからないため、子供には使用できません。

つまり、成人限定の治療法なのです。

たとえ医師に頼み込んでも子供に使用することはできません。

入院が必要

またステロイドパルス領には基本的に入院が必要です。

外来のみで対応している例もあるようですが、少数にとどまっています。

これは、ステロイド剤の投与による肉体への影響を医師が慎重に判断する必要があるからです。

また、肉体の抵抗力が落ちている状態で感染症にかかることを防ぐ意味もあります。

そういうわけで、特に早期の脱毛症には劇的な効果も期待できるステロイドパルス療法ですが、必ずしも「絶対におすすめ」とは言えません。

上記した「日本皮膚科学会が発表した円形脱毛症のガイドライン」では、ステロイドパルス療法の推奨度は「C1(行っても良いが十分な根拠はない)」に分類されています。

また、副作用は軽度にとどまるとはいえ、長期的な視点での副作用の検証はまだ十分に行われているとは言えません。

つまり、現時点では必ずしも第一選択に選ばれるべき治療法とは考えられないと言っていいでしょう。

この治療法を行う際は、医師と相談し、リスクとリターンを十分に理解した上で選択しましょう。