目次

  1. ミノキシジルの初期脱毛ってどれくらい抜けるの?
  2. 【スタッフSの体験談】私は初期脱毛にこう向き合いました
  3. 【スタッフSの後日談】ミノタブ、やめました
  4. スタッフSの事例への補足

発毛剤に含まれている成分として名高いミノキシジル
薄毛に悩む方なら一度はその名を目にしたことがあるでしょう。

しかしこのミノキシジルを使うと、初期脱毛(注1)という、髪の毛が抜けてしまう時期がやってくることがあります。

ヘアラボスタッフ「S」も、そんな初期脱毛に見舞われた一人でした。

以下は、その体験談です。

注1:初期脱毛=発毛剤などを使い始めてしばらくすると、一時的に抜け毛が増える。これは新しく《強い毛》が生えてくるために既存の《弱い毛》が押し出されている…すなわち「発毛剤がきちんと効いている」ことを示す、良い兆候だとされる。

薄毛と戦い続けた10年

私は42歳の男性なのですが、30歳を過ぎたあたりから前髪の生え際のあたりが気になりだしました。

何かの拍子で前髪がぱかりと割れると、そこから覗く剃りこみ部分の地肌の面積が、年々大きくなっていっているように思えたのです。

そこで、もともと髪が細くて直毛でボリュームがでにくいということもあり、美容師に勧められたハリ・コシがでるというシャンプーや育毛トニックを使い始めました。

10年ほどそんな習慣を続けるうちに、髪質はやや改善されてきたように感じました。

というよりも、現状維持を続けてこられたというほうが正確かもしれません。

実のところ、それほど差し迫って悩んでいたわけではなく、毛量自体は少ないほうではなかったのですが、少しずつ少しずつ、前髪が薄くなっていっているのはわかりました。

家族や友人たちに指摘されたことも一度や二度ではありません。

そんななか、ちょうど使っていたシャンプーが切れたことをきっかけに、育毛剤を試してみようと思ったのです。

ところが育毛剤の目的はあくまでも「現状維持」です。

それなら、この10年間やってきたことと同じではないかと。

毎月継続するとなるとそれなりのコストがかかる点にも引っかかりました。

そこで、どうせなら発毛剤を試してみようと、リアップに手をだしたのです。

リアップの初期脱毛

ちょうど1ヶ月、朝晩頭に塗りました。

使用感としては、全く違和感がありませんでした。

拍子抜けするくらい。
まるで水を塗っているのかと思えるほどに。

本当に効果があるのかな?と半信半疑で続けていたところ、2週間後にそれが表れたのです。

そう、初期脱毛

髪を洗っているとき、ドライヤーをかけているとき、悩みごとがあって頭を掻きむしったとき、大量に毛が抜けます

どれも細くて短い毛ばかりで、初期脱毛の知識があった私は、

「これは起こるべくして起こっていること」
「初期脱毛があるってことは、そのぶん新しい毛がたくさん生えてくるってこと」

と言い聞かせましたが、心から安心できない自分がいました。
知識よりも理屈よりも、目の前の抜け毛には有無をいわせぬ迫力があったのです。

初期脱毛は2週間ほど続いたでしょうか。

ようやく治まりかけてきた頃に、リアップが空になりました。
買い足さないと、と思いつつ、月々7,000円の出費が重荷に感じられてきました。
初期脱毛に一喜一憂する日々に、私の心は疲弊しきっていたのかもしれません。

そこで、内服薬のミノキシジルタブレットに切り替えることにしたのです。

ミノキシジルタブレットの初期脱毛

体への負担や副作用を思うと手をだすのは怖かったのですが、仲のいい友人が3年ほど前からミノキシジルタブレットを服用しているのを、近くで見ていたことが背中を押してくれました。

その友人はつむじの薄毛に悩んでいて、常にハットを手放さなかったのですが、服用を始めて1年ほど経った頃から見違えるように髪の量が増えて、ハットは捨てたと言っていたのです。

クリニックの門を叩き、ミノキシジルタブレットを処方してもらったときの胸の高鳴りは忘れられません。

子どもの頃に仮面ライダーの変身ベルトを買ってもらったときの気持ちを思い出しました。

服用し始めて2週間が経った頃でしょうか。
またもや初期脱毛にみまわれました。

心なしかリアップのときよりも激しく、仕事中に頭を揺すっただけで、デスク上には細い毛がぱらぱらと。

前回の初期脱毛はなかったことにされてしまったのか、短期間で2回の初期脱毛を味わった私の心中は、穏やかではありませんでした。

「どれだけ抜けるんだろう」
「こんなにたくさん抜けるなら、後で生えてくるとしても何ヶ月かは薄いまま過ごすことになるのか」
「これって本当に初期脱毛?」

さまざまな想いが去来しました。

そして2週間ほどが経ち、2度目の初期脱毛も終わりました。

そこからさらに3週間ほど経った頃、何となしにおでこを触っていたときに、あるはずのないところに毛が生えていることに気がついたのです。

ミノキシジルタブレットに感謝

なんと、前髪の生え際のところに、びっしりと産毛が生えているではありませんか。

鏡で確認したところ、生え際のラインに沿って、帯状に産毛が生えています。

生えてきた産毛は、やがて太く健康な髪に育っていくはず。

とりあえず、家族とハイタッチを交わしました。

自然界の法則では後退していくしかないはずの生え際が、前進しているのです!

溶けかかった雪の間から春の新芽が顔を覗かせているのを目にしたときのような、喜びが胸に溢れました。

産毛が健康な髪に成長するまでには、半年から1年ほどかかるとされています。

私はこの貴重な愛おしい髪がつつがなく成長するように、そしてまた新しい髪の産声が聞けるのを楽しみに、ミノキシジルタブレットを半永久的に飲み続けようと心に誓ったのでした。

この体験談が書かれた時点で、Sさんはミノタブ服用2か月半でした。

それから1年余り。Sさんは43歳になっています。

「そういえばSさん、まだミノタブ、飲んでます?」

そう問うと、「いや、ミノタブはやめました」と言うではありませんか。

ヘアラボスタッフ「S」の体験記、続編は意外な展開に。

ミノタブの「光と闇」

最初の3か月くらいは、ミノタブに満足していました。

というのも、私が薄毛に悩んでいた期間は10年の長きに及びます。それが目(ま)の当たり解消されていくことは、他に代えがたい喜びだったのです。

とりわけ、ショッキングな初期脱毛の後でようやく産毛が生え始めた頃は、どうしてもミノタブの良い面ばかりに目が行ってしまいました。

でも、光あるところ闇あり。ミノタブもやはり良い面ばかりではなかったのです。

そう、副作用というやつ。

ミノタブの副作用についてはいろいろ言われていますが、私の場合は、「顔のむくみ」が顕著に出ました。

私のスマートフォンにはささやかな<自撮りコレクション>があるのですが、ミノタブを飲む前と飲み始めた後では、明らかに顔の様子が違うのです。特に瞼(まぶた)など、目まわりが。

いま思うと、むくみはミノタブを飲み始めた直後に出始めていたのだと思いますが…
不思議なもので、毎日のように鏡を覗き込みながら、私の目は額の生え際ばかりを見て、そこから下を見ていなかったのです。

人間の脳は、光(効果)ばかりを見つけようとし、闇(副作用)のことは見て見ぬふりをするように、癖づいているとでもいうのでしょうか。

きっかけは「ガイドラインの改訂」

そんな折、ガイドラインが改訂されました。

このガイドラインというのは、我々ヘアラボスタッフにはお馴染みのもので、日本皮膚科学会という学術団体が、薄毛治療の標準(スタンダード)を示したものです。

2010年の発表以来、薄毛に悩む個人や、薄毛治療を専門に行うクリニックの指針になっていたこのガイドラインが、2017年、初の改訂を受けました。

そのなかで初めてミノタブが取り上げられ…なんと、推奨度D(「行うべきではない」)という最低の評価をつけられていたんです。

ガイドラインは皮膚科学・毛髪科学の権威ある先生方が総力を挙げて作ったもの。
私もヘアラボで記事を書くときの拠り所にしていたものですから、この「D評価」には少なからぬ衝撃を受けました。

ミノタブは「パルプンテ」

ガイドラインをよく読むと、低評価の理由は、「科学的に未検証」という点に尽きるようでした。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)

正直に言って、はじめはピンときませんでした。

「臨床試験は実施されていない」「利益と危険性が十分に検証されていない」って、げんにこの通り、生えているじゃないか、と。

でも、いま効果が出ているからって、今後もその延長線上で効果が出続けるかどうかは分からない。
いまのところ副作用が軽微だからって、今後も大過なく済むかどうか分からない。

私は掌の上のミノタブを見つめながら、考え込んでしまいました。

科学的に未検証であるということは、効果にしろ副作用にしろ、あらゆる保証が存在しないということ。何が起こるか分からない、ドラクエの魔法「パルプンテ」のようなものなんだと。

あの「初期脱毛」と思われたものさえ、本当に「初期脱毛」と呼べるものだったのか分からないんだ、と。

そう考えたとき、ミノタブのこれ以上の継続が怖くなったんです。

Sさんは現在、某社のミノキシジル外用薬(塗り薬)とフィナステリド内服薬を併用しながら、薄毛と格闘しています。

ご紹介した体験談は、飽くまで個人的なもの。特定の製品・成分の効果や効能を保証するものではありません。

ただし、「後日談」のほうに記されたミノタブに対する立場は、同時にヘアラボとしての立場でもあります。

ミノタブはそもそも多毛症(体毛を濃くする)を副作用にもつ降圧剤(血圧を下げる薬)。毛を濃くするために降圧剤を飲むというのは、薬というものの歪んだ使い方。

そもそも科学の産物である薬は、科学的に正しい方法で用いるべき。すなわち、ガイドラインに準拠すべきです。

改めて申し上げます。

●ミノキシジルの内服は避けましょう。ガイドラインにおけるミノタブの評価は「D(行うべきではない)」です。

●ミノキシジルなら外用の方を。ガイドラインにおけるミノキシジル外用の評価は「A(行うよう強く勧める)」です。

なお、ガイドライン「ミノキシジル外用は有用か?」の項に、次の記述があります。

  • ミノキシジル外用初期に休止期脱毛がみられることがあり、これが外用中止につながる恐れがあるため、患者への説明が必要である。

これはまさしく初期脱毛
ミノキシジル外用の使用初期には抜け毛が多くなることがありますが、これは将来新たに《強い毛》が生える、希望の光です。