目次

  1. 頭皮のケアといえば「スカルプD」
  2. 原点はクリニック内で処方する「スカルプソープ」
  3. 中身にこだわりすぎて見た目は地味に!?〜初代から3代目まで〜
  4. 爆発的なヒットと新洗浄剤の採用、変わりゆくスカルプD〜4代目から8代目まで〜
  5. 「理想の頭皮」を目指して進化のつづくスカルプD〜9代目(2013年)から12代目(2016年)まで〜
  6. まとめ:スカルプDの人気は、日々の研究と開発陣の想いが支えていた

シャンプーなどのヘアケア製品の世界では、この10年ほどで「スカルプ」という言葉がよくきかれるようになりました。

「スカルプ」はそのまま英語で「頭皮」の意ですが、日本でこの言葉を聞くと、頭皮そのものというよりは、頭皮ケアに関連する商品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

そうした商品の代表格が「スカルプD」

発売は2005年と、すでに10年以上の歴史があるヘアケアブランドのシャンプーです。 シリーズの累計販売本数が1300万本を突破するなど、男性向けシャンプーでは高い人気を誇ります。

しかしこのシャンプーが登場した際、「スカルプ」という言葉はあまり馴染みのあるものではありませんでした。

そんななじみのなかった「スカルプ」に、なぜスカルプDはこだわったのでしょう?

スカルプときくとなんとなく頭皮に、そして髪によいような気はするのですが、はっきりとした理由はなかなかピンときませんよね。

それを解明するには、メーカーに直接訊くしかない!ということで、スカルプDの開発を行うアンファー社へ突撃、開発の背景やその歴史を取材してきました。

波間隆則氏
波間隆則氏

とはいうものの、誰に話を訊けばよいのやら…と思っていたハゲラボ編集部。

それを出迎えてくれたのは、「スカルプDの生みの親」ともいうべき人。 開発初期から一貫してスカルプDに携わってきた、波間隆則さんです。

波間さんが話してくれたのは、なんとスカルプDが発売される前の時代のこと。

当時、頭髪専門のクリニックで使われていたシャンプーがスカルプDの原点でした。1990年代終わりごろの話です。

「最初は『頭皮』に着目したものではなく、いわゆる普通のシャンプーでした。ただ、私たちのシャンプーを使っていただいたクリニックの方の医師の意見や、来院された方の声を拾っていく中で、単に髪の毛を洗うのではなく、それが生えている『頭皮』がヘアケアに重要なのではと考えはじめたわけです」(波間氏)

たしかに髪の毛は頭皮から生えているわけですから、その頭皮を洗う、たとえば清潔に保つといったことは重要でしょう。 そしてその波間さんの考えを確固たるものにしたのが、ある医師の一言でした。

「当時は『頭皮』にフォーカスしたシャンプーは一般的ではなかった時代でした。しかし、開発の中でお世話になった武田先生(編集部注:武田克之氏。皮膚科医で元徳島大学長も務めた。2016年に逝去)が、『髪の毛には頭皮環境が重要』と言い切ってくださったのですね。信頼できるドクターの言葉、そしてそれまでにあつめた臨床データを信じて開発してみようと」(同)

スカルプDというと、多くの方にはお笑いタレントが起用されヒットしたCMのイメージが強いかもしれません。

しかしそこは医師との共同研究も行っていたアンファー。 スカルプDの開発には20万件以上臨床データも用いられました。

そして2001年、改良が重ねられたスカルプソープというシャンプーが誕生します。 超脂性肌用、脂性肌用、普通肌用、敏感肌用の4つのラインナップがありました。

その後患者や医師からのヒアリングで手応えを得た波間さんたちは、スカルプソープ一般発売へと動きます。

初代スカルプD
初代スカルプD

最初のスカルプソープ誕生から5年以上の時を経て、2005年、スカルプDが誕生、一般への発売が開始されます。

このときのラインナップは「オイリー」(脂性肌用)と「ノーマル」、「ドライ」(乾燥肌用)の3種類。 ちなみに写真をご覧いただくと明らかですが、パッケージも地味なものでした。

「あのときのアンファーは、社員が10名程度の小さな会社でした。正確な表現かわかりませんが、いわゆる『ベンチャー』ですね。なので、はっきり言ってパッケージを凝るところまで手が回らなかったというのが正直なところです(笑)。ただ、それまでなかった『頭皮のためのシャンプー』という新たなジャンルにチャレンジできたのは、そうした『ベンチャー』ならではの風土があったからかもしれません」(同)

こうして誕生したスカルプDは、東急ハンズなどで徐々に人気となっていきます。

3代目からは、容器も汎用のボトルではなく独自の仕様となりました。 中身はもちろん、一般の方に手に取ってもらえるよう、見た目もこだわり抜くようになっていったのです。

2代目スカルプD
2代目スカルプD
3代目スカルプD
3代目スカルプD

2008年に発売された4代目は、爆発的なヒットとなりました。 お笑いタレント雨上がり決死隊・宮迫さんを起用したプロモーションが始まったのがこのころです。

4代目で行われた「K-BO-BO-プロジェクト」や、翌年の5代目の発売に合わせて放映された、何人ものお笑いタレントがBARに集うCMをご覧になった方も多いでしょう。

4代目スカルプD
4代目スカルプD
5代目スカルプD
5代目スカルプD
6代目スカルプD
6代目スカルプD

この時期、開発現場では変化が起こりつつありました。

それまでの「頭皮を洗う」というコンセプトから、「頭皮環境を整える」というコンセプトへと変わったのです。 2011年、7代目で起きたことでした。

そして最も大きな変化があったのが2012年、8代目のこと。 4年の歳月をかけて開発された新洗浄剤、「アミノウォッシュ+」の採用です。

7代目スカルプD
7代目スカルプD

シャンプーの洗浄剤は、いわゆる界面活性剤。 これが頭皮に良い、悪い、という議論はよく見かけますよね。

洗浄剤についてはこちらの記事もあわせてご覧いただければ幸いですが、アミノウォッシュ+はアンファーがスカルプDのために独自に開発した洗浄剤です。

8代目スカルプD
8代目スカルプD

「独自」だから何…?と考えた方もいらっしゃるかと思いますが、シャンプーの世界では、多くのメーカーが汎用の洗浄剤を用いています。

独自の開発には時間もお金もかかりますし、ある程度支持されている商品でなければ、商品のサイクルが早いシャンプーで開発に踏み切ることはできません。

サイクルが早いというのは、シャンプーは一部の商品をのぞき流行り廃りが激しいことを指しています。 製品、ブランドの寿命が長くないと、独自に洗浄剤を開発するお金も捻出できませんからね。

スカルプDは長い歴史があり、かつ支持されているからこそ、独自の洗浄剤開発に踏み切れたのです。

「スカルプDは、私たちにとって本当に大切な商品です。主力の商品として会社を支えているものですから、そこにはコストも労力もしっかりと投じています。また単に消費財メーカーであれば、シャンプーは日用品の中の一商品という位置づけでしょうが、私たちアンファーは予防医学をテーマに、頭皮や髪になやむ方々に対する商品の提供を行うことが使命です。そうした位置づけの違いが、洗浄剤に対する時間やお金の掛け方にあらわれてくるのではないでしょうか」(同)

独自の洗浄剤「アミノウォッシュ+」を採用した後も、スカルプDの進化は続きます。

9代目(2013年)では「浸透アミノペプチド」、「密着セラミドポリマー」など、髪の太さに着目した成分が採り入れられました。

9代目スカルプD
9代目スカルプD
10代目スカルプD
10代目スカルプD
11代目スカルプD
11代目スカルプD
12代目スカルプD
12代目スカルプD

さらに2014年には、売上本数が1000万本を突破。

そして2016年には、「超脂性肌用」として、歴代シリーズ中最も強力な洗浄力をもつ「ストロングオイリー」も追加されています。

毎年のリニューアルで着々と進化してきたスカルプD。 率直なところ、「これ以上どこが進化するのだろう」と感じるところもあります。 その疑問を波間さんに伺ってみました。

「進化はこれからも続くと思います。実はわたしは「理想の頭皮」といえる状態が存在すると考えているのですが、その探求、そしてその「理想の頭皮」へと近づくためのシャンプー開発には終わりはありません。今も、医師の方々との研究でそれに近づく努力をしています。基礎的なものから応用までいろいろな研究がありますが、たとえば頭皮の厚みがもしかしたら髪の毛の量と関係があるかもしれない…など、研究から得たヒントを日々開発現場にフィードバックし、より良い商品づくりに生かしています」(同)

頭皮に関する研究…非常に気になりますが、それは今後のお楽しみといったところかもしれません。 取材が終わりに近づいたころ、波間さんはシャンプーづくりに賭ける想いをこう話してくれました。

「薄毛に悩む方々のためには、発毛剤や育毛剤を開発したっていいじゃないかというのはよく伺います。もちろんそれは間違っていないのですが、シャンプーにはシャンプーの特性がある。たとえば育毛剤を何ヶ月か続けることよりも、シャンプーを続けるほうがはるかに簡単ですよね?多くの方は少なくとも2日に1回以上はシャンプーを使用されますから。その『日々使うもの』で革新的な商品を世に送り出せれば、本当に多くの方の頭皮環境を変えられる。だからこそシャンプー、そしてスカルプDという商品にこだわりたいんです」

取材後にハゲラボ編集部が感じたこと。 それはスカルプDが長い期間、これほどまでにたくさんの想いが 注がれて開発されてきたという事実への驚きでした。

もちろん想いだけではなく、たくさんの臨床データやユーザーの声も然りです。 データと、人の想いに裏付けされたシャンプーほど心強いものはないのではないでしょうか。