目次

  1. 髪の毛とコラーゲン、知られざる関係に迫る!
  2. そもそもコラーゲンとは?
  3. ①人体に備わっているコラーゲンの効果
  4. ②外から取り入れるコラーゲンの効果
  5. 【実践編】良質なコラーゲンを保つには
  6. コラーゲンが髪に対してもつ驚くべき力は、まだ解明途上
コラーゲンといえば「お肌にいい」というイメージですが…
コラーゲンといえば「お肌にいい」というイメージですが…

髪の毛に対しても、驚きの効果が!?

皆さんはコラーゲンと聞いて、どんな言葉を連想するでしょう?

フカヒレ、鶏の皮、お肌ぷるぷる…。
そう、“お肌によい健康食品”というイメージが強いのではないでしょうか。

もしかすると、コラーゲンパックやコラーゲンクリームなどを、お肌に塗ったことがある人もいるかもしれませんね。

では、そのコラーゲンと“髪”との関係って、どうなっているのでしょう?

調べてみると、コラーゲンが髪の毛に対してもつ、驚くべき効果が明らかに…!

コラーゲンと髪の毛の知られざる関係に、ぐぐっと迫ってまいります。

知ってるようで実はよくわからない…
知ってるようで実はよくわからない…

コラーゲンにぐぐっとフォーカス!

コラーゲンはもともと人体に備わっている

食べるにせよ、塗るにせよ、「外から取り入れるもの」というイメージの強いコラーゲンですが、実はもともと人体に備わっているものでもあります。

むしろ、それなくして人体は成り立たないもの、と言えるでしょう。

コラーゲンが人体組成に占める割合、そして、コラーゲンが人体において果たす機能
この両面から、コラーゲンの正体に迫ってみましょう。

コラーゲンが人体組成に占める割合

まず、割合で見てみましょう。

人体を構成する成分のうち、水を除いて最も多いのが、タンパク質です。
水が6~7割を占め、タンパク質は2割ほど。

コラーゲンも、そんなタンパク質のひとつ。

人体内にあるだけでも数万種類といわれる多様なタンパク質のうち、コラーゲンは実に3割を占めているといいます(参照1)。

コラーゲンが人体において果たす機能

次に、コラーゲンが人体の中で果たしている機能を見てみましょう。

人体ではさまざまながタンパク質が、適材適所で独自の役目を果たしています。
では、タンパク質の一種であるコラーゲンは、“どこ”で、“何”をしているのでしょう?

京都大学大学院の佐藤健司教授(食品機能学)によると…

(コラーゲンは)真皮、骨、腱などの主成分で、少量なら体内のどこにでもあります。

<中略>

骨や皮膚などを作りますが、実は細胞に対してかなり大きな効果を持っています。

そうだったんだ!コラーゲン!!~コラーゲンが効くメカニズム解明~|コラーゲンの全てがわかる情報サイト|コラーゲンナビ

コラーゲンの重要なはたらきとして、細胞と細胞を結び付け、“細胞たちのまとまり”とその“外部”との境界線を作る、というものがあります(参照2)。

また、コラーゲンは真皮の主成分。
真皮とは、“表皮”と“皮下組織”のあいだの層。
皮膚の見えている部分(表皮)のすぐ下にある、厚さ2mmの層のことです(参照3)。

この真皮にコラーゲンがあることで、肌は形や弾力を保っています

髪にかかわりのあるところでいうと、“毛包”や“毛乳頭”など、髪の毛のいちばん根っこの部分は、真皮層に位置しています。
つまり、髪はコラーゲンから生えているとも言えるわけです。

そう考えると、コラーゲンが髪に対して大きな影響力を持っていてもおかしくないという気がしてきますよね。

「コラーゲンの髪に対する効果」には2通りある

ここまで、コラーゲンが人体にすでに豊富に存在し、それぞれの場所での機能を果たしている、という事実を見てきました。
「食べるなり塗るなりして外から取り込むもの」というイメージが覆された方もいるのでは?

というわけで、「コラーゲンが髪の毛にもたらす驚きの効果」は、次の2つに分けられます。

  • そもそも人体に備わっているコラーゲンの、髪に対する驚きの効果
  • 外から取り入れるコラーゲンの、髪に対する驚きの効果

これから、それぞれをご紹介していきます!

頭皮のうす皮一枚下で
頭皮のうす皮一枚下で

「17型コラーゲン」が頑張ってくれています!

2016年2月。東京医科歯科大の西村栄美教授らが「加齢による薄毛・脱毛の仕組みを明らかに」したとして、話題を呼びました。

アメリカの権威ある科学雑誌「サイエンス」にて、「加齢による薄毛・脱毛と17型コラーゲンの関連」という論文が発表されたのです。

その驚きの結論はというと…


人体に存在する「17型コラーゲン」(注1)には白髪と脱毛を抑える効果があり、それが加齢によって減少すると、白髪・脱毛を生じる。


この成果は日本のTV、新聞でも大きく取り上げられ、薄毛・脱毛に対する国民的関心の高さが改めて示される形となりました。
あわせて、この研究が加齢による白髪・脱毛への革新的な治療法の確立につながることへの期待の高さが示されたと言っていいでしょう。

実際、研究チームは、新薬の開発も視野に、研究を続けていくとのことです。

西村教授らの研究について、もっと詳しく知りたい!という方のために、以下、もう少し踏み込んだ解説をしてみましょう。

難しい話はちょっと…という方は、驚きの効果②へジャンプ!

注1:人体中のコラーゲンには19もの種類があります。最も多い1型は骨や皮膚を形成し、2型は軟骨を…といった具合に、それぞれ役割が異なります。「17型」の役割については次項をお読みください。

加齢による白髪・脱毛と17型コラーゲン~西村教授らの研究概要~

それでは、西村教授らの研究について解説いたします。

まずは“毛包”のことから…。

毛の、表から見えていない部分は、毛包という組織に包まれています。
毛包の中には、2つの幹細胞があります。

毛包幹細胞と、色素幹細胞

「毛包」幹細胞は、新しい髪を作り出すもの。
「色素」幹細胞は、髪に色素を与えるものです。

ところで、幹細胞とは何でしょうか。
幹細胞は、次の2つの能力をもつ、特殊な細胞です。

  • (1)異なる細胞に“変身”する能力
  • (2)自らを複製する“分身”の能力

⑴幹細胞は、「幹」細胞と書くように、異なる細胞に「枝」分かれする能力があります。
毛包/色素幹細胞のケースでは、“新しい髪を作り出す”、”髪に色素を与える”という作用が、こちらの能力に対応します。

⑵同時に、幹細胞は、自分と全く同じ働きをする(=枝分かれ能力をもつ)細胞を作り出す、自己複製の能力をもっています。

黒い髪の毛を“一度”作り出すだけなら、⑴の能力だけで充分。
しかし、黒い髪が繰り返し生えてくるためには、…言い換えれば“ヘアサイクル(髪が生まれてから死ぬまでのサイクル)が循環していく”ためには、⑵の能力が欠かせません。

そして、⑵自己複製の能力を2つの幹細胞にもたらしているのが、17型コラーゲンなのです。

17型コラーゲンがあればこそ、黒い髪は生え変わることができるのです。


しかし、この17型コラーゲンも、加齢にともない分解されてしまいます。

そのとき、もはや毛包および色素幹細胞は自己複製の能力を保てず、ヘアサイクルが一巡するごとに一つずつ、通常の細胞へと変身していき、やがては枯渇してしまいます。
それにともない、毛包のミニチュア化という現象が起きます。毛包がどんどん縮み、小さくなり、徐々に表層へと浮き上がって、ついにはフケとして剥がれ落ちてしまいます。


これが西村教授率いる研究チームが明らかにした、加齢による白髪・脱毛のメカニズムです。(参照4、5)

これまで、加齢による脱毛現象としては、男性ホルモンによるAGA(男性型脱毛症)のみが知られていました。
しかし今回、幹細胞を中心とする“もうひとつの脱毛メカニズム”が示された形です。

そして、そのプロセスには、「17型」と呼ばれるコラーゲンが、深く関わっていることが分かりました。


参照4:東京医科歯科大学プレスリリース
参照5:Bloom!医科歯科No.12

待たれる「白髪・脱毛予防」の新薬

17型コラーゲンがなくなると白髪・脱毛が生じる…。

…ということは、17型コラーゲンを維持できれば、白髪・脱毛を予防できるのでは?

これは薄毛や白髪に悩む方にとって、希望の光。

事実、西村教授らの実験では、17型コラーゲンが枯渇して薄毛となったマウスに17型コラーゲンを戻してやると、白髪や脱毛といった異常が「すべて回復した」といいます。(参照6)

ただし、“特定の種類のコラーゲンを、特定の部位(髪)に効くように摂取する”ことは、容易なことではありません。

西村教授も、「17型コラーゲンは通常のコラーゲンとは性質が異なるものであり、直接これを塗布したり、服用したりしても、薄毛が改善されるかどうかは保証の限りではない」として、むしろ“17型コラーゲン配合”をうたった商品の使用に警鐘を鳴らしています。(参照7)

それでも、「白髪・脱毛予防の新薬」への希望を捨ててはいけません。

西村教授は、「コラーゲンの減少を抑える治療薬の候補となる物質を探し、数年以内に動物実験を行ったうえでヒトでの臨床試験に結びつけたい」(参照8)と話しているそう。


参照6:東京医科歯科大学プレスリリース
参照7:【17型コラーゲン】に関連するとされる化粧品・健康食品等への注意喚起について
参照8:NHK、2016年02月05日付け記事

コラーゲンを摂取すると…
コラーゲンを摂取すると…

髪の毛が太くなる!?

人体にもともと備わったコラーゲンの、髪に対する驚きの効果について学びましたね。

では、食べ物や塗布剤として、コラーゲンを外部から取り込むことで、何か髪によい効果はあるのでしょうか。

「お肌によい」とはよく言われるコラーゲンですが、髪に対する効果はいかに?

調べてみると、驚きの事実が発覚しました。

コラーゲン摂取で髪の毛が太く!?

2008年、「コラーゲンペプチド含有食品摂取による毛髪への影響に関する検討」と題する論文が、日本美容皮膚科学会誌に掲載されました。
齊藤典充・北里大学医学部助手(当時)らの研究です。

概要は次のようなものです。


成人女性に魚鱗コラーゲンペプチド5000mgを含む食品を8週間摂取させたところ、毛髪直径が増加した。


もう少し詳しく見てみましょう。

研究チームは、健康な女性64人を2つのグループに分け、一方にはコラーゲンペプチド(注2)を、もう一方には偽薬(注3)を、毎日5g、8週間にわたり食べさせ、毛髪の太さに変化があるかどうかを調べました。

すると、コラーゲンペプチドを食べたグループの方が、偽薬を与えたグループに比べ、明らかに毛髪の太さが増していることがわかった、というのです。

また美容に関する、本人の満足度も、ないがしろにできない大事な要素。

実験後、参加者にアンケートを行ったところ、髪の“ツヤ”、“なめらかさ”、“しっとり感”など、すべての項目で改善の実感が得られたという結果が出たそうです。(参照9)

参照9:新田ゼラチン株式会社http://collagen-net.com/BM/hair.html

注2:コラーゲンペプチドは、分子量の大きいコラーゲンを、吸収しやすいよう低分子化したもの。次項で詳しく説明します。

注3:薬効のないものを薬と称して与える、“偽の薬”。プラセボ。

コラーゲンの効率摂取で髪の健康・長寿を!
コラーゲンの効率摂取で髪の健康・長寿を!

ただし、一筋縄ではいきません。

コラーゲンを食べることで髪が太くなるなら、薄毛・細毛に悩む人には朗報。やはりコラーゲンを食べねば!と思いますよね。

一方、体内に存在するコラーゲンも、加齢とともに質・量が低下するため、外部から摂取して補う必要があります。

というわけで、効率のよいコラーゲンの摂取法をお伝えしましょう!

…ただし、コラーゲンの摂取には、難しい点が。

  • ⑴コラーゲンは吸収されにくい
  • ⑵摂取したコラーゲンを狙った場所に効かせることは難しい

⑴コラーゲンは、数あるタンパク質の中でも、分子量が大きい(構成している原子・分子の数が多い)タンパク質です。吸収効率があまりよくありません。

⑵これはコラーゲンに限らず、どの種のタンパク質にも言えること。
食物として摂取したタンパク質は、いちど各種の酵素によって分解され、体内で再合成されます。
そのとき、いったいどのタイプのタンパク質に再合成されるのかは、予測・制御の限りではありません。

つまり、コラーゲンを食べてもコラーゲンは手に入らないのです。

ただし、コラーゲンを効率よく摂取できるようにと、いろいろな工夫がなされています。

上記(1)、「吸収されにくい」問題については、分子量を低減したコラーゲンペプチドの配合、という形で解決が図られています。
コラーゲンペプチドを配合したサプリ、ドリンクが各社から出ています。

上記(2)、「狙った場所に効かせることは難しい」という問題については、コラーゲンをシャンプーに配合して、頭皮から直接浸透させる、という試みがあります。

口から摂取するものと頭皮から摂取するもの、それぞれについて、見てみましょう。

口から摂取するコラーゲン

コラーゲンペプチド配合サプリorドリンク
コラーゲンペプチド配合サプリorドリンク

効率的にコラーゲンが摂取できるメリットがあります。

もちろん鶏の皮やフカヒレなど、コラーゲンをたっぷり含んだ食品を食べるのもいいでしょう。

ただ、効率を考えるなら、やはりペプチドと呼ばれる状態にまで精製されたコラーゲンを、サプリやドリンクから摂取するほうがよさそうです。

その際注意したいのは、次の2点。

  • 食事の方もおろそかにしない
  • ビタミンCをあわせて摂取

サプリはあくまで、食事を“補うもの”(それがサプリメントという言葉の本来の意味です)。

基本は、やはり食事です。

豚肉や鶏卵、牛乳、大豆などから良質なタンパク質をとり、ビタミンミネラル類も欠かさないようにしましょう。
いずれも髪にとって大切な栄養素です。

とりわけ重要なのはビタミンC。
ビタミンCはコラーゲンの合成に欠かせない栄養素であるとされています(参照10)。

参照10:『栄養の基本がわかる図解事典』成美堂、2015年

皮膚から摂取するコラーゲン?

「コラーゲン配合のシャンプー」
「コラーゲン配合のシャンプー」

その効果は、あまり期待しすぎないほうが。

「コラーゲン配合」をうたうシャンプーが出ています。

たしかに、頭皮のうす皮一枚下には真皮という名のコラーゲン層があるわけですから、その量と質を保つには、コラーゲンを頭部に直接塗布するのがよさそうにも思えます。

しかし、シャンプーなどの「化粧品」が、角質層より深く浸透することはありません

髪や頭皮に用いる製品は、大きく「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」に分類されます。
シャンプー類はふつう、「化粧品」のカテゴリー。

薬機法という法律により、化粧品が角質層(表皮の一番外側の層)より深いところへ浸透することはあってはならない、とされているのです。(参照11、12)

ただ、シャンプーに配合されたコラーゲンが、まったく無意味かというと、そうではありません。
コラーゲンは保湿成分として優秀な働きをします。

シャンプー剤配合のコラーゲンには、真皮への吸収でなく、あくまで保湿効果を期待しましょう。

沈黙のコラーゲン
沈黙のコラーゲン

その秘めたる力が全面的に解明されるのはいつの日か?

コラーゲンの髪に対する驚くべき効果を見てきました。

注意していただきたいのは、今回ご紹介した2つの学説――「脱毛・白髪を防ぐ」効果に関する研究も「髪を太くする」効果についての研究も、ともに近年発表されたものであること。

これはすなわち、コラーゲンの髪に対する効果は、まだまだ解明の途上にあるということです。

「白髪・脱毛予防」の新薬をめざし、今日も研究に明け暮れているはずの西村教授(医科歯科大)をはじめ、研究者の皆さんに声援を送りたいと思います!

一日でも早く、新たな成果があがりますように。

それまでは、無理のない範囲でコラーゲン摂取に励みましょう!