目次

  1. 円形脱毛症の原因・治療方法は?
  2. 円形脱毛症の原因は?
  3. 円形脱毛症とは?病型の解説
  4. 円形脱毛症の治療方法は?〜診療ガイドライン〜
  5. 行うよう勧められる円形脱毛症の治療方法
  6. 根拠は十分でないが行ってもよい円形脱毛症の治療方法
  7. 推奨できない、行うべきでない治療方法もご紹介
  8. 円形脱毛症の原因と治療方法〜まとめ〜
  9. 【関連記事】そのほか円形脱毛症について

結論からお伝えすると、円形脱毛症の原因・治療方法ともに明確な答えというものはでていません。

それだけに、ネット上では怪しい情報までもが飛び交っているのが現状…。

そこで今回、日本皮膚科学会日本毛髪科学協会といった機関が発信する情報を元に、「原因とされる有力な説と、推奨されている治療方法」について詳しく解説をしていきます。

この記事が、少しでも円形脱毛症で悩む方のお力になれば幸いです。

それではさっそく、円形脱毛症が発症する原因について解説していきます。

円形脱毛症の原因はさまざまな説が提唱されていますが、近年は自己免疫疾患説が主流となっているそう。

それではこの説について詳しく見ていきましょう。

自己免疫疾患とは

人体に異物が入ると、それから体を守ろうと免疫システムが働きます。

本来この免疫システムは、異物にだけ反応し、自己の組織・細胞には反応しません。

しかし、何らかの原因で、免疫システムが自己の組織や細胞を異物と誤認し、攻撃することがあります。

この反応によって起こる障害や病気を、自己免疫疾患と呼びます。

円形脱毛症の場合、髪を生成する「毛母細胞」が、この免疫システムから"異物"として誤認され攻撃された結果、髪が抜け落ちたということになります。

自己免疫疾患を発症するきっかけはさまざまです。この症状自体について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。


MSDマニュアル 自己免疫疾患 →


原因はストレスじゃないの?

円形脱毛症といえばストレスが原因。

こうお考えの方は多いでしょう、実際にかつてはこのストレス説が主流でした。

しかし、円形脱毛症とストレスの直接の関連性は科学的根拠が乏しいそう。

「ストレスで円形脱毛症になった」と単純には繋がらないのです。

ただし、自己免疫疾患のきっかけの一つとしてはストレスが挙げられているのも事実。

つまり、「ストレスによって自己免疫疾患となり、円形脱毛症になった」という考え方が確からしいと言えるでしょう。

次の治療方法に移る前に、円形脱毛症の症状の種類について解説をします。

治療方法を確認していくにあたって、これらをしっかり理解することはとても大事ですよ。


円形脱毛症とは、突然に脱毛斑(毛がない部分)が生じる疾患のこと。

一般的に脱毛斑が10円玉のようになるため、「十円ハゲ」といった呼称もされます。

しかし、実際には十円サイズにとどまらず、頭皮全体に広がったり、体毛にまで及ぶこともあり、その症状はさまざま。

そんな円形脱毛症の病型は以下のようになります。

  • 単発型:脱毛箇所が1つだけ

  • 多発型:脱毛箇所が数個、脱毛箇所が融合する場合も

  • 全頭型:すべての頭髪が脱毛する

  • はんぱつ型:頭部は多発型・全頭型で、また全身に渡り脱毛する

それぞれの症状・病型ごとに推奨されている治療方法も異なりますので、まずはここでしっかり確認しておきましょう。

円形脱毛症の原因や症状の種類について理解できたところで、これから治療方法についてご紹介していきます。

本記事では日本皮膚科学会が2010年に発表した「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン」(以下ガイドライン)に基づき治療方法を紹介していきます。


ガイドラインの詳細はこちら →


日本皮膚科学会円形脱毛診療ガイドラインとは?

このガイドラインは、選定された皮膚科専門医集団によって作成された、円形脱毛症の治療法を評価したものです。

ガイドラインの位置づけとしては、専門医が治療を行う上での一助となるように策定されたものであり、治療方法を限定するものではありません

実際の現場(病院)では、専門医と患者さんの入念な相談により、治療方法が決定されていきます。

これらは、大事なポイントですので、しっかり念頭に置くようご理解ください。

ガイドラインの評価

それでは、ガイドラインに基づき円形脱毛症の治療方法をご紹介していきます。

ガイドラインは治療法ごとに「推薦度」という評価軸を設定しています。

推薦度は以下のように設定されています。

  • B 行うよう勧められる
  • C1 行っても良いが十分な根拠はない
  • C2 行わないほうが良い
  • D 行うべきではない

まず、推奨されているBの評価である治療方法について詳細を説明していきます。

しかしBの治療方法の対象に当てはまらない方や、完治しない方などは、C1の治療方法を受けることがあります。

ですので、併せてC1の治療方法も詳しくご紹介していきますね。


※ちなみに、円形脱毛症において『A』(行うよう強く勧められる)評価の治療方法は存在しません。

それでは、ガイドラインにおいて推奨度『B』の評価がつく治療方法をご紹介します。

Bの治療方法はこの2つ。

  • ステロイド局注

  • 局所免疫療法

確認する時は、必ず「対象はどの病型、どの年齢か」に注意してくださいね。

ステロイド局注

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  • ガイドライン記載の推薦文(以下、推薦文):脱毛面積が25%以下で固定している、単発型・多発型の成人に用いるべきである

ステロイド局注とは、ステロイド剤を患部に直接注射する治療方法のこと。

この治療により、自己免疫疾患が抑えられ、発毛していくという信頼性の高い根拠が見出されています。

しかし、注射部位の皮膚萎縮が多数報告されており、十分な注意が必要。

また、脱毛箇所が広範囲に及ぶ場合は、かなりの回数と量がいるため、他の治療法も検討すべきとされています。

小児に対しては、基本的に行うことを推奨されていません

局所免疫療法

  • 推薦文:脱毛面積が25〜49%で固定している、多発型・全頭型・はんぱつ型の全年齢に対し、第一選択肢として行うべき

局所免疫療法とは、脱毛部位にアレルギー感作物質を塗布する治療方法。

この治療により免疫反応が是正し、発毛するという信頼性の高い根拠が見出されています。

しかし、接触皮膚炎、リンパ節の腫れ、じんましんなどを併発することがあり注意が必要です。

妥当な治療法と評価され、多発型・全頭型・はんぱつ型の症例に、年齢を問わず第一選択肢として推奨されています。

次は、円形脱毛症に対して推奨度が『C1』の治療法です。

医学的根拠は十分ではないが、診療実績が豊富、または他の治療方法と併用で効果が報告されている。

だいたいはこのような理由で、「根拠は十分でないが行ってもよい」と分類されています。

点滴静注ステロイドパルス療法

  • 推薦文:発症後6ヶ月以内で、脱毛が急速に進行している、脱毛面積が25〜49%以上の成人に用いてもよい

点滴静注ステロイドパルス療法とは、高濃度のステロイドを点滴し、改善を図る治療方法。 

治療前と比較して、円形脱毛症の範囲が縮小することを示唆する根拠が見出されています。

効果は発症が早期なほど顕著で、報告では入院を要するような重篤な副作用はほとんど無かったそうです。

報告された副作用としては、不眠、動悸、頭痛、微熱など。

ただし、小児への施行については安全性が確立されていません。

ステロイド内服

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  • 推薦文:脱毛が急速に進行している、脱毛範囲が25〜49%以上の成人に使用期間を限定して用いてもよい

錠剤のステロイドを内服すると、円形脱毛症の脱毛範囲を早く縮小し、発毛促進を示唆する十分な根拠が見出されています。

しかし、内服終了後に円形脱毛症が再び起こるとされています。

また、肥満・満月様顔貌などを併発することが多く、十分な注意が必要だそう。

発毛効果に関して、高い水準の根拠があるものの、こういった不利益がありC1に分類されているのです。

第2世代抗ヒスタミン内服

  • 推薦文:アトピー素因を持つ、単発型・多発型に併用療法との一つとして用いてもよい

第2世代抗ヒスタミンとは、抗アレルギー剤の薬です。

さまざまな治療方法との併用で、円形脱毛症の範囲が縮小することを示唆する信頼性の高い根拠が見出されています。

また、アトピー素因の円形脱毛症に対しては、早期に改善する期待が持てることも判明。

まだ研究段階のため、「アトピー素因を持つ」場合と限定されています。

セファランチン内服

  • 推薦文:単発型および多発型に、併用療法の一つとして用いてもよい

セファランチンとは、抗アレルギー作用のほか、免疫機能増強作用などがある薬のこと。

これによって円形脱毛症の範囲が縮小することを示唆する弱い根拠が見出されています。

根拠は薄いですが、国内で膨大な診療実績があるため、他の治療方法との併用のみで推奨。

副作用として胃の不快感や食欲不振などがあり、まれに顔面紅潮や蕁麻疹などが報告されています。

グリチルリチン,メチオニン,グリシン複合剤 (グリチロン®)

  • 推薦文:単発型および多発型に、併用療法の一つとして用いてもよい

グリチロン複合剤は、炎症やアレルギーを抑える作用がある薬。

円形脱毛症に対する有益性は、現段階では十分に実証されていません

ただ、国内における膨大な診療実績を考慮し、併用療法の一つとして推奨されています。

ステロイド外用

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  • 推薦文:すべての病型において、第一選択肢として用いてもよい

炎症や免疫機能を抑えるステロイドのクリームを、円形脱毛症患部に塗布する治療方法。

毛髪再生の報告は多数ですが、有益性は十分に実証されていません

しかし、一般的な治療方法として多くの皮膚科で採用されており、その実績からすべての病型において第一選択肢として推奨されています。

副作用として、ニキビや毛嚢炎が発症することに注意が必要です。

塩化カルプロニウム外用

  • 推薦文:単発型・多発型に、併用療法の一つとして用いてもよい

塩化カルプロニウムとは、毛膿に作用し、発毛を促進する医薬品。

AGAの治療にも用いられています。

他のいくつかの治療方法と併用して、脱毛範囲が縮小する弱い根拠が見出されています。

ただし、資料が乏しく、この治療方法もやはり円形脱毛症に対しての有益性が十分に実証されていません

国内での診療実績を考慮し、C1の評価がつけられています。

副作用は発汗、かゆみなど。

ミノキシジル外用

  • 推薦文:単発型・多発型に、併用療法の一つとして用いてもよい

ミノキシジルは血管を拡張し、発毛が認められている成分。

脱毛範囲を縮小する根拠が弱く、また広範囲に脱毛している場合は無効であるという判明しています。

このように有益性は十分に実証されていませんが、海外における診療実績を考慮し、併用療法の一つとして推薦されています。

冷却療法

  • 推薦文:単発型・多発型に、併用療法の一つとして行ってもよい

冷却療法は、円形脱毛症の患部に、液体窒素もしくは雪状炭酸(ドライアイス)を強く押し当てる治療方法。

治療前と比較して、脱毛範囲が縮小する弱い根拠が見出されています。

有益性は十分に実証されていませんが、簡単で副作用も軽いため、併用療法の一つとして行ってもよいとされています。

当てすぎによる痛みは注意が必要です。

直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)

  • 推薦文:単発型・多発型に、併用療法の一つとして行ってもよい

スーパーライザーと呼ばれる装置で、円形脱毛症の患部を照射し、発毛促進を試みる治療方法です。

単発型や多発型に対し、他の治療方法と併用した場合、発毛回復の期間が短縮するという弱い根拠が見出されています。

ただし、やはり円形脱毛症に対しての有益性は十分に実証されてません

冷却療法同様に、簡単で副作用が軽い点を考慮し、このような形で推奨されています。

PUVA療法

  • 推薦文:局所免疫療法が無効な、全頭型・はんぱつ型の成人に行ってもよい

PUVA療法とは、免疫を弱める効果を持つ紫外線を照射し、改善を図る治療方法です。

円形脱毛症に対する効果の根拠が乏しく、また再発率が高く見られます。

ただ、尋常性乾癬(皮膚の病気)などの診療において頻用される治療のため、局所免疫療法でも治らない全頭型・はんぱつ型の成人に対し、併用療法として行ってよいとされています。

かつら

  • 推薦文:局所免疫療法が無効な多発型・全頭型・はんぱつ型に用いてもよい

治療方法ではないのですが、ガイドラインではかつらもC1として紹介されています。

かつらを着けることで円形脱毛症の病勢に影響はないのですが、紫外線や外傷からの防御となる点で推奨されています。

また、患部を他人から隠すことで、生活の質が向上することも推奨される一因。

単発型なら髪型で上手く隠すことが可能ですが、脱毛範囲が広い場合はそうはいかず、かつらで隠すのが有効です。

さて、ここまでガイドラインにて、『B』(行うよう勧められる)と『C1』(根拠が十分でないが勧められる)の治療方法をご紹介してきました。

ここで、『C2』(根拠がないので勧められない)、『D』(行わないよう勧められる)に分類されている治療方法が気になる方もいるかと思います。

治療を受ける上での指標としてご確認ください。

ここでは治療方法の名前と、推薦文のみを掲載していきます。

C2

  • シクロスポリン A内服:現時点では推奨できない

  • 漢方薬内薬:現時点では推奨できない

  • 精神安定剤内服:用いない方がよい

  • アンスラリン外用:用いない方がよい

  • 星状神経節ブロック:行わない方がよい

  • 催眠療法:行わない方がよい

D

  • 鍼灸治療:行うべきではない

  • 分子標的治療薬:用いるべきではない

C2、Dの治療方法は、「有益性が十分に実証されていない」「有害事象が高頻度で発症する」などの理由で円形脱毛症に対して推奨されていない治療方法となります。

さて、今回は毛髪科学協会や日本皮膚科学会による情報を元に、円形脱毛症の原因と治療方法について解説をしていきました。

原因としては、自己免疫疾患の説が有力だったのですよね。

治療方法に関しては、「日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン」に基づきご紹介してきました。

記事中でもお伝えしましたが、実際には病院で専門医と患者さんの入念な相談によって治療方法が決められていきます

ご自身の治療法の決定は、必ず信頼のおけるお医者さんに相談の上、行ってくださいね。


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